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生活保護:老齢加算廃止は違法 福岡高裁

 北九州市に住む74~92歳の男女39人が、生活保護の老齢加算の減額や廃止処分について「憲法が保障する生存権を侵害する」として、市に処分取り消しを求めた訴訟の控訴審判決が14日、福岡高裁であった。古賀寛裁判長は「生活保護法に反し違法」として、原告の訴えを退けた1審・福岡地裁判決を取り消した。1審は「憲法が保障する生活水準を下回っているとは言えない」としていた。【岸達也】

 訴訟は福岡や東京など8地裁に提訴され、1審は福岡▽東京▽京都▽広島の4地裁で2審は東京高裁で原告側の訴えは退けられていた。原告側の主張が認められたのは初めて。

 39人は国の事務を委任された北九州市から減額や廃止の処分を受け、06、07年に、処分取り消しを求め提訴した。1審で原告側は、老齢加算について「旧厚生省が必要性の確認を重ねながら継続されてきた。支給によって、かろうじて命をつなぐことができた」と主張。食費や入浴回数を減らさざるを得ない窮状を訴えた。

 一方、市側は「単身で月5万円以上の食費をかける人もいれば、パチンコ代に月約2万5000円使っている人もいる」などと反論し、処分の適法性を主張。09年6月の1審・福岡地裁判決は「家計に打撃を受け肩身の狭い思いをしていることは理解できるが、憲法が保障する生活水準を下回っているとは言えない」として原告側の訴えを退けていた。

 【ことば】老齢加算

 加齢に伴い消化の良い食事や冠婚葬祭費がかさむようになるとの特別な配慮から、生活保護を受けている70歳以上に、60年から上乗せして支給されていた。最高で月に約1万8000円が支給され、対象者は05年度で約30万人。しかし、「小泉改革」で03年末に廃止が決定。04年度から段階的な減額が始まり、06年3月末に全廃された。

毎日新聞 2010年6月14日 13時38分(最終更新 6月14日 13時49分)

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