きょうのコラム「時鐘」 2010年6月14日

 サッカーW杯に合わせて3Dテレビ商戦が盛んという。弾丸シュートの迫力を見たいと思うが、相手は高級品だ。財布のお札も飛び出していく

立体画像まで見られる結構なテレビ時代である。現地の治安を心配しなくても済む。観客席からは豆粒の選手も、別のカメラは表情までとらえる。大事な場面は二度も三度も繰り返してくれる

プロ野球の観客席に、小型テレビを持ち込むファンが大概いる。生かテレビ観戦か、どっちかにしろと思ったが、テレビに映らぬ選手の動きはいくらもあるし、生では分からない微妙なプレーもある。生と画面という二つの目と耳を使った観戦上手だと、すぐに分かった

テレビと上手に付き合うのが大事と観客席のオジサンから学んだのだが、最近のテレビは扱いにくい。画像が美しくなって、画面がどんどん大きくなる。本物らしさが増して、部屋で大威張りである。画面の大きさに比例して、とりこになる時間も延びそうである

上手に付き合いたいが、敵は美しい画像で誘惑する。いくら装っても、映像は本物とは違う。美しく装うのも、ほどほどにならぬものか。