6月九日〔晴れ〕
この日俺たちはいつものようにネットゲームの世界に飛び込んでいたんだ・・・
それが。。。あんなことになるなんて・・・
「佳祐ー早くこいよ!!」
俺の名前は、冬村 佳祐(ふゆむら けいすけ)高校1年だ、身長183と高いため
大学生に間違われることが多い、
いま俺たちは、2年前にできたVRMMO「エルドランドオンライン」を遊ぶためにネットカフェに来ているところだ。
「はやくしてよぉ~!イベントはじまっちゃうよ?」
身長150cmちょっとぐらいの少しボーイッシュな女の子が自分を急かす。
「わぁってるって!」
乱雑に返事をしたまま小走りで走り出す。
今日は同級生4人でこのゲームをしにきたのだ、
男2人、女2人だが、もちろん恋愛関係はない。・・・多分
男2人が一人が俺で、もう一人は、
「はぁ・・・お前がやろうっていったんだろ?」
ちょっと着崩す格好をしている、160ほどの見た目頑張れば女にもみえないことも無い、日雅 正弥(ひが まさや)である、
女の方は、
先ほど紹介した元気でボーイッシュな女の子
南乃 稟(みなみの りん)と
「・・・・早く」
少し無口な、顔は無表情な身長140越えたあたりの小さな女の子
崩下 亜美(くずれした あみ)である、
ちなみに上の名前は皆が呼びにくいので気軽に亜美とよんでいる。
本人はさほど気にしていないが・・・
「今日は開催2周年記念でシークレットイベントがあるんだからね!」
そう、今から俺たちがログインするMMOは今日でめでたく2周年を向かえる。
中学生の頃、とある理由によりひどく鬱に入っていたため、普段しないはずのオンラインゲームにのめりこんでしまっていた。高校に入ってからは立ち直り、友達もたくさんできたので、少しINする時間も減ったがそれでものめりこんでいることには変わらなかった。
しかも、その友達までオンラインゲームを始めると言い出したのが1ヶ月前のことである。
きっかけは自分がネカフェに入るのを見られたのと、そんなものには無縁そうな顔をしている稟もこのMMOを1年前に初めていたということが発覚したからだ。
「今日こそメインキャラだせよなー!ケースケのメインちょっと見てみたいしなぁ」
INできるのがうれしいのか、どことなく声のトーンが上がっている正弥がいう。
「・・・・私も」
こちらはいつもと変わらないが、それでも顔には少し、ほんの少しだが変化が感じられる。
「はぁ・・・」
これからのことを考え、深いため息をつく。
「なんか、元気ないね?大丈夫?」
心配そうに顔を覗き込んでくる稟が愛おしく見える、
「なんもねぇよ、気にすんな」
「そう?ならいいけど・・・」
納得いかない表情をしながら2人の方にむかっていった、
俺が今日こんなテンションが低い理由を説明しよう。
俺はひどく鬱のときにMMOを始めたっていったよな?
そんときはな、もうリアルのことはどうでもいいと思うぐらい、IN率が高かったんだ。当然INすればするほど自分のLvは上がってく・・・
高校入って気がつくと自分はとてつもないLvを手にしていた。
それが知られて、引かれるのが目に見えてる・・・
いままでは、「お前ら初心者だし俺も新しくキャラ作って説明しながらやってくわ!」で一緒に正弥と亜美の2人と一緒に自分もサブを作っていた。
しかし、メインみせろとうるさい正弥に「100Lvになったらな!」といってしまったのだ。
2人はよほど見たかったのか、2週間で100まで上げてしまった。
そんなこんなで、今日は欝なのだ。
少しエルドランドオンラインについて説明しよう。
このオンラインゲームは8年前に開発されたヴァーチャルリアリティシステムを利用した、どこにでもあるRPGMMOだった、転職にボスバトル、対人まで用意された王道ともいえるオンラインだった。
転職が少し特殊だがそこを除けばシステム的に普通だった、
唯一普通じゃないのは、フィールドが広大ということだった、今までのオンラインゲームは大きくても四国レベルの大きさなのに対して、今回は本州ほどの大きさであった、といってもほとんどが海で移動できるところは少ない、
転職システムについて説明しよう、
基本職は ファイター・メイジ・アーチャ・サマナー・クレリック
の五職からなっている、各職は1000までLvを上げることができて、1000までいくと転職をすることができる、
それぞれ、 ナイト・ウィザード・レンジャー・デビルサマナー・プリーストである。
これも各1000まで上げることができるのだが、1Lv上げるのに必要な経験値量は
基本職とは比べ物にはならない、
此処からが特殊で1000まで上げても次のランクの職には転職することはできない、また基本職を選択または1000のやつをスキルMAXにするしかない、
二個目に選んだ職の上位版を1000まで上げると一個目の職とが組み合わさって
三次職にいけることもある、
たとえばナイト1000とウィザード1000にすると
マジシャンズナイトに転職することもできる、この組み合わせは今のところ、公にされていない、通常プレイヤーがしってる三次職は大体2~4個である、
その理由はこのゲームは個人の情報を知るためには、その人本人から知る以外には方法が無いからである。
「よし、そろそろはじめよーぜ!」
いつもは此処で俺も元気よくはじめるのだが今日は気が重い。
ちなみに、正弥の職はアーチャ126Lvである。
「・・・・」ワクワク
亜美も今か今かと待っている、
こいつは、メイジ119Lvである、
「ケースケ早くかぶりなよ!?」
稟がそうやって渡してくるのは、仮想空間に行くための被り物、
名前は・・・・忘れた。
まぁいいか、いまINしても引かれないように情報を隠すことを優先するか。
ちなみに、稟の職はプリースト540Lvである、さすがに1年やってるのは違うね。
「うっし、じゃあINするか!みんな」
「「「うん(おう)」」」
こうして二周年イベントに参加するためにエルドランドにINをしたのだった、
これが、罠だとも知らずに・・・
誤字修正いたしました。