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「はやぶさ」とカプセルが地球に帰還、大気圏突入確認

2010年6月13日23時4分

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写真:「はやぶさ」からカプセルの分離が確認されると宇宙科学研究所はファンの拍手に包まれた=13日午後7時51分、神奈川県相模原市中央区、福岡亜純撮影「はやぶさ」からカプセルの分離が確認されると宇宙科学研究所はファンの拍手に包まれた=13日午後7時51分、神奈川県相模原市中央区、福岡亜純撮影

表:「はやぶさ」帰還までのできごと拡大「はやぶさ」帰還までのできごと

 【グレンダンボ近郊(豪南部)=東山正宜】小惑星探査機「はやぶさ」は13日午後11時20分(日本時間午後10時50分)ごろ、豪州南部の上空で大気圏に再突入し、約60億キロの旅を終えて7年ぶりに地球に帰還した。月以外の天体に着陸した探査機の帰還は、世界で初めて。宇宙航空研究開発機構は、小惑星「イトカワ」の砂が入っている可能性のある回収カプセルの捜索を始めた。

 はやぶさは、再突入の3時間前に回収カプセルを分離。豪州に西側から入る形でほぼ同時に落下した。カプセルは数十秒間にわたり、金星と同じくらいの強い光を放った。はやぶさ本体は、その真後ろをバラバラになりながら燃え尽き、役目を終えた。

 はやぶさは2003年5月、鹿児島・内之浦からM5ロケットで打ち上げられ、約20億キロ航行して05年にイトカワに到着した。その後、姿勢制御装置の故障や燃料漏れが相次ぎ、エンジンが設計寿命を超えるなど、帰還は何度も絶望視された。そのたびに解決策が見つかり、当初予定から3年遅れ、往復で約60億キロの旅程を経ての帰還となった。38万キロ離れた月以外の天体との往復は世界初となる。

 はやぶさの主な目的は、イオンエンジンと呼ばれる省エネ型の新エンジンや、地球からの指示なしで動く自動制御技術の検証。これらは達成でき、小さな探査機でも木星などの遠い天体を目指せる基本的な技術を確立できた。

 カプセルにイトカワの砂が入っていれば、月の石を持ち帰った旧ソ連のルナ計画や米国のアポロ計画、宇宙空間で彗星(すいせい)のチリを回収した探査機に次ぐ成功となる。

 着陸時に回収装置が正常に機能せず、砂が入っていても微量だと考えられる。ただ、粉薬1粒ほどでも成分は分析できるという。宇宙航空研究開発機構は、カプセルを発見次第、日本へ空輸して詳しく分析する。イトカワは、46億年前に地球などと一緒に誕生したときの姿を保っており、太陽系の成り立ちの解明につながると期待されている。

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