トップ > 財政投融資 > 財政投融資に関するFAQ

財政投融資

○財政投融資に関するFAQ


財投機関って何?

財投機関は、財政投融資を活用している機関です。具体的には、(株)日本政策金融公庫などの政策金融機関、(独)都市再生機構などの独立行政法人などが挙げられます。

財政投融資は、財政融資、産業投資、 政府保証の3つから成り立っていますが、このうち財政融資については、国(特別会計)、地方公共団体のほか、特殊法人・独立行政法人等(特別の法律により設立された法人で民間からの出資を受けていないもの)が対象となります。産業投資については、「産業の開発及び貿易の振興」の目的に合致し、さらに「投資」の対象として将来の収益が期待でき、国からの投資・収益還元に必要な規定を備えている機関が対象となります。政府保証については、基本的に、それぞれの設立法において政府保証を受けることが出来る旨の規定が存在する機関が対象となります。

財政投融資の編成に当たっては、 毎年度、 真に必要な資金需要には的確に対応しつつ、財政投融資の対象となる事業の重点化・効率化を進めています。

全特殊法人及び全独立行政法人に占める財政投融資の対象法人の割合

項目一覧へ

財政融資資金の調達金利や貸付金利はどのように決まっているの?

財政融資資金の資金調達のうち、財投債によるものについては、財投債が国債の一種であることから、国債金利そのもので調達されています。また、国の特別会計の積立金・余裕金等からの預託金については、預託期間に応じて、国債の利回りに即して財務大臣が預託金利を定めることとされています。このように財政融資資金の調達金利は基本的に国債金利と同水準となっています。一方、貸付金利については、貸付期間に応じ、国債の流通利回りを基準として、償還方法(満期一括、元金均等、元利均等)や据置期間といった償還形態の違いを反映した上で財務大臣が定めています。

以上のような金利の設定方法は財政投融資改革において導入されたものです。それまで、預託金利については、国債の金利その他市場金利を考慮するとともに預託者側の事情にも配慮して政令で定めることとされており、実際、財政投融資改革時には、7年以上の預託に対しては毎月発行される10年物利付国債の表面利率に0.2%を上乗せした水準で設定されていました。他方、貸付金利については、貸付期間にかかわらず、7年以上の預託金利と同一の水準で設定されてきました。財政投融資改革により、預託金利については、預託者への配慮規定が廃止され、国債利回りに即して設定されることとなり、貸付金利についても、国債の流通利回りを基準として期間に応じて設定されるようになったことで、市場原理との調和が図られることとなったと言えます。

上記の貸付金利の設定方法から分かるように、基本的に財政融資資金の貸付金利は調達金利と同じ水準です。財政投融資特別会計において利益が発生しているのは、貸付けの中に最長30年という非常に長期間の貸付けがあるため、現在でも過去の比較的高い金利の貸付金が残存している一方で、調達側は、財政投融資改革以前に中心となっていた郵貯・年金の7年間の預託が比較的金利の低い財投債等に置き換わったことにより、貸付金残高の運用利回りと財投債等の調達コストの間に差が生じていることによるものです。

項目一覧へ

財投機関の資金調達はどうなっているの?

企業は、自己資金だけでは事業を行うために必要な資金を賄えない場合、株式や債券の発行、金融機関からの借入れなどの方法によって外部から資金を調達します。財投機関も自らの事業による収入がありますが、外部からの資金調達の方法としては、政府などからの出資や借入れ、民間金融機関からの借入れ、債券(財投機関債)の発行があります(利用者の負担を軽減するという観点から、補助金が投入される場合もあります)。これらの資金調達手段のうち、市場で公募して発行する財投機関債については、発行にあたり、格付けを取得したり、投資家説明会を開催するなど対外的な情報開示を進めることを通じて、業務運営の効率化が図られるといった効果も期待できます。

財投機関は政策的役割を担っているため政府から資金を供給されていますが、 そのためには、あらかじめ厳しい審査を経なければなりません。例えば、財政投融資を利用するにあたっても、その事業について、民間では対応ができないか、供給する資金が確実に返済されるか、政策コストがどのくらいになるか、などを精査した上で、政策的に必要と判断された場合に、国会での審議・議決を経て、財政投融資からの資金の供給が認められます。

財投機関の資金調達のイメージ

項目一覧へ

財投債は他の国債とどう違うの?

財投債は国が発行する債券であり、国債の一種です。また、商品性も通常の国債と同じで、発行も通常の国債と合わせて行われているので、金融商品として見た場合、通常の国債と全く変わりません。発行限度額について国会の議決を受けている点でも通常の国債と同じであることから、各年度の国債発行計画の中にも国債の一種として位置付けられています。

ただし、国債の発行によって調達された資金が財政融資資金の貸付けの財源となるとともに、償還・利払いが財政融資資金の貸付回収金によって賄われている点が、一般会計の歳出の財源となり、租税などを償還財源とする通常の国債とは違います。このため、財投債は、経済指標のグローバルスタンダードである国民経済計算体系(SNA)上も、一般政府の債務には分類されていません。

平成21年度 国債発行予定額

項目一覧へ

郵貯・年金のお金ってまだ財政投融資に使われているの?

現在、郵便貯金と年金積立金は、市場において自主運用されており、財政投融資との制度的な関係はありません。

財政投融資改革以前は、郵便貯金と年金積立金は財政融資資金の前身である資金運用部資金への預託が義務づけられており、財政投融資の主要な資金供給源となっていました。しかし、財政投融資改革において、郵便貯金と年金積立金については市場において自主的に運用することとされ、財政融資資金への預託義務は廃止されました。現在、郵便貯金についてはゆうちょ銀行、年金積立金については年金積立金管理運用独立行政法人により運用がなされています。また、財政投融資改革以前に預託された郵便貯金、年金積立金は約定により順次払い戻されており、年金分については平成20年度末、郵便貯金の通常分は平成19年度末までに払戻しを完了しています。(注)

なお、両者がその資産の多くを国債で運用していることから、現在も実質的に国債(財投債)の購入を通じて、郵便貯金や年金積立金が財政投融資に使われていると言われることがあります。しかし、郵便貯金や年金積立金はそれぞれゆうちょ銀行、年金積立金管理運用独立行政法人が独自の目的、運用方針により市場で運用しており、郵便貯金や年金積立金が自動的に財政投融資に使われる制度になっているわけではありません。

(注) 郵便貯金からの預託金のうち、自主運用分(旧金融自由化対策資金見合分)については平成21年度末で2兆円が残存する見込みですが、これについても平成22年度末までに全額払い戻される予定です。

項目一覧へ

財政融資資金からの借入金を繰上償還することはできないの?

固定金利でお金を貸し借りする場合、貸し手・借り手の双方とも、将来の金利水準の変動に対して一定のリスクを負うことになります。借り手は、金利が上昇しても低い金利で借り続けられる一方、金利が低下しても高い金利を払い続けなければなりません。貸し手は、金利が低下しても高い金利を引き続き受け取ることができる一方、金利が上昇しても低い金利のまま我慢しなければなりません。

このような状況において、借り手が貸し手に繰上償還(前倒し返済)を行う場合、貸し手は、本来、繰上償還以後も受け取り続けられるはずであった利息収入を失うことになる一方で、借り手から繰上償還を受けた資金を元手に新たに貸付けを行って利息収入を得ることが可能です。 結局、貸し手にとって、失った利息収入と、新たに得られる利息収入の差額が繰上償還に伴って生じる損失となります。

財政融資資金の貸付けは収支相償うよう運営されていることから、このような繰上償還に伴って生じる損失をそのまま受け入れることは出来ません。したがって、繰上償還に応じる場合には、繰上償還に伴って生じる損失に対応する補償金の支払いが前提となります。

補償金を免除した繰上償還については例外的な措置であることから、財政制度等審議会財政投融資分科会において要件として設定した

という「4条件」を満たした上で、法律に基づいて行われることが必要となります。

上記の要件に基づき、平成17年度編成において旧住宅金融公庫(現在の(独)住宅金融支援機構)、(独)都市再生機構及び年金資金運用基金(現在の年金積立金管理運用独立行政法人)に対して、補償金を免除した繰上償還を認めました。

また、平成19年度から平成21年度においては、財政状況が厳しい地方公共団体に対して補償金を免除した繰上償還を実施しました。さらに、今般限りの特例措置として当該措置を3年間延長し、平成22年度から平成24年度においても実施することとしました。

項目一覧へ

財政投融資対象事業の多くは不良債権化しているって本当なの?

財政融資資金は財政融資資金法により確実な運用を行うこととされ、その貸付けの対象は特別の法律により設立された法人や地方公共団体等に限定されています。また、これまで財政融資資金からの貸付けにおいて貸倒れが発生したことはなく、約定どおりに償還がなされています。つまり、財政投融資対象事業の財務の健全性は確保されていると言えます。

しかしながら、個々の財投機関が貸倒れ等の各種の事業リスクを抱えていることは事実です。この点については、毎年度の財投編成の際に、財投機関において、信用リスク等を勘案した金利設定を行っているか、財政投融資対象事業の収益性がきちんと確保されているか等を精査し、政策コスト分析の手法も活用しながら、財投機関の償還確実性の精査に努めています。

特に、平成17年度財投計画編成の際には、財政制度等審議会財政投融資分科会において、全ての財投機関の財務の健全性について、民間準拠の財務諸表などを参考に総点検を行いました(「II部 近年の財政投融資の動向 2.ディスクロージャーの進展(2)財投機関における民間準拠の財務諸表の作成」も参照)。この際、財政投融資残高で大きなウエートを占めていた旧住宅金融公庫、(独)都市再生機構については、事業の撤退を含めた抜本的な見直しを実施しており、財政投融資事業の健全性はそれ以前と比べて一層確かなものになりました。

なお、財政投融資対象事業に一般会計等から国費(補助金など)が支出されている場合もありますが、これは、一定の政策上の目的に基づいて投入されているものであり、 財投機関の債務返済を助けることが目的となっているものではありません。

項目一覧へ

 

ページ先頭へ