「国家的危機」と認識 首相来県、農家らに面会

(2010年6月13日付)

 菅直人首相は12日、口蹄疫問題をめぐって初めて来県、県庁で東国原知事と会談した。首相は本県で発生が続く口蹄疫について「国家的危機」との認識を示した上で、一連の対策費については「県に負担はかけない」と鳩山政権に引き続き国として全力を尽くす考えを明らかにした。また首相は会談に先立ち、宮崎市佐土原町のワクチン接種農家を訪れ、意見を交わした。

 会談には知事、中村幸一県議会議長、羽田正治JA宮崎中央会会長と、口蹄疫の発生が確認された5市5町の首長が同席。知事は、感染ルートの解明や防疫強化、口蹄疫対策にかかる費用を国が全額負担することを要望した。

 首長らによると、会談で首相は、首長らから要望のあった自衛隊の増員について前向きに検討すると表明。口蹄疫対策費は「県に負担をかけることなく対応する」と答えた。宮崎、都城、日向市で新たに口蹄疫が発生したことに対する、ワクチン接種など具体的なまん延防止策についての話は出なかったという。

 会談後の会見で、首相はワクチン接種農家を訪れたことについて「感染拡大と、その後の生活再建についてしっかり考えなければいけないと感じた」と述べた。

 知事は会談後、「危機管理を万全にする国の意志を感じた。(財政措置について)細かな話はなかったが、国が全額負担すると理解している」と話した。

【写真】畜産農家を視察する菅直人首相。農場を経営する永野正純さん(右から2番目)が畜産関係者の切実な思いを伝えた=12日午前11時、宮崎市佐土原町・永野さんの農場近く(代表撮影)