角界の野球賭博問題が波紋を広げ始めた。衝撃の発表から一夜明けた12日、東京都内のホテルで行われた把瑠都の昇進祝賀会で壇上に立った横綱審議委員会の鶴田卓彦委員長は「今後そういうことがあれば、横審としてすぐに引退勧告します」。また、2月まで生活指導部特別委員会の外部委員を務めた漫画家のやくみつる氏は「複数人は一角ではないか」と野球賭博にかかわった力士が増えるのではと危惧(きぐ)。今後の展開を心配する声が相次いだ。
把瑠都の大関昇進と尾上部屋の部屋開きを兼ねたおめでたいパーティーの壇上でも、鶴田委員長は物申さずにはいられなかった。
「誰が横綱になるか、賭けの対象になるような相撲賭博はダメです」とキツい冗談であいさつを始めると、自己申告力士が出た今回の一件に対して「罪が深くなければ厳重注意だが、これからそういうことがあれば横審として引退勧告しますからね」と言い切った。
実際に横審は横綱に対しての権限しか与えられていないが、「過激な発言? いや普通だよ。あれくらい横審もね、発言してもいいだろ。次も同じことをしたら退場(引退)。横綱や大関でも退場」と繰り返した。
同じくパーティーに出席していたやくみつる氏は、今後さらに自己申告する力士等が増加することを危惧している。「複数人がどれだけの人数か分からないが、一角ではないのかなというのが印象」。野球賭博問題に合わせて過去の博打に関しても調査などを行うことについては「あえてベクトルをそっちに持っていっている印象がある」と斬り捨てた。
さらに、武蔵川理事長が早々に厳重注意を与えたことにも「もっと広く調査した上でしかるべき処分ではなかったか。もっと深く実際に行われた行為のディテールを聞けば見えてくることもある」と物言い。「相撲は押し出し、つり出し、突き出しなど出し技はいろいろありますが、“小出し”は悪いだろうと思いましたね」とやく氏らしい分析もあった。
今後は14日までに各部屋に配布されたアンケートを回収。その後に警視庁、文科省にも報告が行われるため、野球賭博を否定している琴光喜を含め、週明けから事態が進展する可能性もある。
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