日本ハム−中日 4回裏2死、鶴岡に本塁打を浴び、苦しい表情の中田賢=札幌ドームで(小嶋明彦撮影)
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札幌の中日ファンは、ため息ばかりが出る試合となった。12日の日本ハム戦(札幌ドーム)、先発の中田賢一投手(28)は、稲葉、糸井、鶴岡に3発を浴び4イニングで5点を失いKO。打っても、ダルビッシュらに沈黙し、0−9で完敗した。これで中日は再び貯金なし。交流戦は残り2試合で借金2。勝ち越しがなくなった。
ショックの色は濃かった。試合終了後バスへと急ぐ中田賢は、ほとんど口を開かなかった。「きょうは何も話すことは…。すいません」。普段は敗れても理路整然と自分の投球を説明する。3発を浴びて5失点KOされたこの夜に限っては、そんな心の余裕すらなかった。
「8番」打者に食らった一発が苦しい投球を象徴していた。4回、鶴岡に外角直球を簡単にとらえられると、打球は右翼席へライナーで吸い込まれた。今季2本塁打しか打っていなかった右打者に、しかも“逆方向”へ運ばれた。
1回の稲葉と糸井の本塁打も直球を打たれた。球速は最速143キロ止まり。「直球が悪かった? そうですね」と中田賢。本来の球威に遠く及ばないタマは、広い札幌ドームでも次々とフェンスの向こうへ弾き返された。
1週間前とはまるで「別人」。今季初勝利を挙げた5日のロッテ戦(ナゴヤドーム)では6イニングを9奪三振で3失点に抑えた。何よりも最大の武器の直球が威力抜群で、「真っすぐに強さがあった」と中田賢は語った。完全復調は近い。自他ともにそう感じた直後の、大炎上になってしまった。
18日からはセ・リーグ勢との戦いに戻る。交流戦期間にはなかった6連戦も復活し、先発投手は6人必要になる。現状では柱として計算できそうなのはチェンと1軍復帰が間近の吉見くらい。川井と山井も好投しているとはいえ、信頼できる投手はまだまだ足りない。中田賢の完全復活が望まれるが、防御率が5・00まで下降したとあっては、「いつも『前回(登板)』と違う。もう見飽きた」と森ヘッドコーチ。我慢も限界に近づきつつある。
痛い敗戦。勝率は5割に逆戻りし、交流戦も10勝12敗となって勝ち越しの可能性が消滅した。中田賢がこのまま本調子を取り戻せないようなら、巨人追撃のスピードは大いに鈍ってしまう。 (木村尚公)
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