政府・与党は、道路関係4公団の民営化後の高速道路建設について、高速道路整備計画(9342キロ)の未完成部分約2000キロの一部の建設を当面見送るとともに、国と地方の税金で無料道路を建設する「新直轄方式」区間の割合を増やす方向で調整に入る。一方、新会社には、道路公団の料金収入を道路建設に活用する現在の方式と類似の方式を採用し、整備計画を完成させる余地を残す考えで、12月中の合意を目指す。
政府・与党は、高速道路の建設について、「9342キロは全部は造れない」とする小泉首相と、建設を促進したい自民党道路族の折り合いをつけたい考え。一部の建設見送りはあるものの、民営化によって採算性を重視して新しい高速道路の建設を大幅に抑えるという、道路関係4公団民営化推進委員会が当初掲げた理念は大きく後退しそうだ。
建設の見送りは、国土交通相が日本道路公団に「施行命令」を出していない278キロの区間を中心に選ぶ見込み。ただし、整備計画自体の見直しはせず、将来、復活する余地を残す可能性が高い。
新直轄方式による建設については昨年末、03年度からの15年で、全線16兆円分のうち3兆円分をつくる方針を決めた。将来、これを1兆円程度拡大し、4兆円程度分とする方針。新会社が有料の高速道路として建設するのは、10兆円分から9兆円程度分に縮小する。
一部建設見送りと新直轄部分の割合拡大を持ち出すのは、未完成部分全線を従来方針通りに建設しては、道路公団改革に期待を寄せる納税者の批判に耐えられないと判断したためだ。
一方、公団民営化後の新会社による有料の高速道路建設については、通行料金や自己調達資金を活用し建設を進める新方式を軸に調整する方針で、基本的に現在の道路公団の建設方式が維持される。
推進委や日本道路公団の近藤剛総裁は、新会社が自主性を確保することを求めており、地域分割や建設手法については、改革イメージを保てるように手直しする可能性がある。
政府・与党は、公団のファミリー企業の整理や建設コストの追加削減策も打ち出し、改革進展を強調する構えだ。
(12/05 06:15)
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