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小泉首相は20日、日本道路公団など道路関係4公団民営化について、新会社が通行料金を担保に資金を自己調達して新線建設を進める方針を固めた。通行料金を建設に活用することで、現在の高速道路整備計画(9342キロ)の完成を可能にする案で、与党も容認していた。また、民営化後の新会社が受け持つとされている10兆円分の道路建設費を規格の見直しなどで7.5兆円に削減する。22日午前に開く政府・与党協議会で正式に決め、来年の通常国会に民営化法案を提出する。
小泉首相はこれまで「無駄な道路は造らない」と強調し、整備計画の見直しにも言及していた。しかし、首相は建設費を削減することで改革の成果をアピールできると考え、整備計画の完成を可能にする案だが、了承したものとみられる。自民党道路族と首相が歩み寄った形で、小泉改革の中身が改めて問われそうだ。
この日、石原国土交通相が首相官邸で、(1)05年度の民営化に合わせ、日本道路公団は東日本、中日本、西日本に3分割、首都高速道路公団、阪神高速道路公団は単独で民営化する。本州四国連絡橋公団は経営安定後(10〜15年後)に西日本会社と合併する(2)新会社の経営の自主性を尊重する。ただ、国の意向を新会社の1社が拒否した場合、国は別の新会社に声をかける(複数協議制)。それでもまとまらない場合は、社会資本整備審議会(国交相の諮問機関)に諮り、正当性を審議する(3)4公団が抱える40兆円の債務の返済期間は45年とし、その後、無料にする(4)通行料金は平均1割程度引き下げる――などの国交省案を提示、首相も了承した。
新会社の高速道路の建設の仕組みは、通行料金収入を担保に新会社が資金を借り入れる「自己調達案」を採用する。通行料の間接的な建設費充当案で、道路族もこの案を容認していた。9342キロの整備計画のうち未整備の約2100キロについて、当初は20.6兆円の費用がかかるとされていたが、与党は4兆円をコストダウンしたうえで、民営化までに道路公団が3兆円、新会社が10兆円、道路特定財源を使い国と地方で負担する新直轄方式(通行料は無料)により3兆円を負担する考えだった。
新会社の建設分について、費用対便益の評価などが低い区間を中心に6車線の予定を4車線や対面通行に減らしたり、建設費のかかるトンネルを造らないようルートを変更したりすることで、2.5兆円を削減する。
具体的には第2名神で2区間の建設費合計が1兆円を超える大津(滋賀県)―城陽(京都府)と八幡(同)―高槻(大阪府)のほか、採算性が極めて低く、新直轄方式で建設見込みの北海道縦貫道の士別剣淵―名寄、北海道横断道の足寄―北見、中国横断道の米子―米子北について規格などを見直す。
自民党道路族は「この案ならばまったく問題はない」(幹部)と話している。一方、民営化推進委は昨年末にまとめた意見書で、通行料の建設費充当案を否定しており、一部委員は反発すると見られる。
(12/20 21:14)
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