メッシ不発もマラドーナ監督初勝利…アルゼンチン
◆南アW杯1次リーグ ▽B組 アルゼンチン1―0ナイジェリア(12日、ヨハネスブルク・エリスパーク) マラドーナ監督(49)率いるアルゼンチンはナイジェリアを1―0で破り白星発進。選手として優勝経験のある同監督は指揮官としてのW杯初勝利を飾った。エースFWメッシ(22)=バルセロナ=は不発に終わった。
W杯初采配試合を勝利で飾った“神の子”が、試合終了直後、その栄光の背番号10を受け継いだメッシを高く抱き上げた。
幸先のいいスタートだった。前半6分、MFベロンの右CK。ゴール前中央へ右足で放り込んだボールに、フリーになった32歳のDFエインセがダイビングヘッドで、あっさり先制ゴール。その瞬間、へっぴり腰になったマラドーナ監督は自軍ベンチへ両人さし指を突き立てる「ゲッツ」ポーズ。予選までのジャージー姿から打って変わり、珍しいグレーのスーツ姿で決めた同監督は笑いを誘う喜びのパフォーマンスだ。
チャンスメークは、やはりメッシだ。先制点の直前に中央から左足で今大会自己初シュート。GKエニェアマが辛うじて右手ではじき、右CKへつなげた。
「伝説になるには、W杯で優勝するしかない」。22歳のエースは、自らに言い聞かせ、今大会に臨んだ。W杯予選では、昨年4月から同11月までの終盤7試合で無得点。今季スペイン1部リーグ得点王(34点)となった所属先のバルセロナでは活躍しても、代表では猫の目のように変わるパートナーとのコンビネーション不足で力を発揮できなかった。「メッシはアルゼンチン人じゃない」。母国ではそんな批判さえ浴び、起用法に疑問を呈したと報道され、マラドーナ監督との不仲説も出た。
今年4月にはバルセロナ市内のホテルで2人はひそかに会談し、両者の信頼を深めた。「代表はまるでロールスロイス。それを運転するメッシがいる」。指揮官は試合前日に言い放った。
メッシを生かすための3トップで臨んだが、前半30分過ぎからは相手の球際の強さとカウンターに苦しみ、エースは再三のチャンスを作りながら不発に終わった。それでも指揮官へ願ってもない1勝を贈ることはできた。欧州CL2回、スペインリーグ4回、クラブW杯1回の優勝。代表では05年ワールドユース優勝。08年北京五輪金メダル。唯一、メッシが手に入れていないのはW杯優勝。指揮官との二人三脚で、今度こそ「メッシのW杯」にしてみせる。
[2010/6/13-06:05 スポーツ報知]