厚生労働省は31日、建設業や医師など一部の自営業者らでつくる国民健康保険組合(国保組合)のうち、所得水準の高いところに対する国庫補助を見直す方針を示した。予算の無駄遣いをチェックする「行政事業レビュー」で明らかにした。現在実施している加入者の所得調査の結果を踏まえ、2011年度予算から財政力のある国保組合への補助率は下がる見通しだ。
国保組合の医療費に対する国庫補助は平均で約4割。所得水準の高いところや医療費の自己負担を無料化しているところにも補助が出ているため、「なぜ補助が必要なのか」と批判されている。
このため厚労省は、各国保組合加入者の所得水準を調べ直し、来年度予算の概算要求までに財政力に応じた補助のあり方を考えるとする。その際には、市町村が運営する国民健康保険や中小企業のサラリーマンらが加入する協会けんぽへの国庫補助とのバランスも考慮するという。
また、厚労省がこの日公表した調査によると、5月20日現在で全165国保組合のうち、本人または家族の自己負担を無料にしているのは16国保組合(11建設国保、4歯科医師国保、1医師国保)。この16組合全部が11年度以降、無料化を廃止していく方針だという。