本や雑誌をデジタル化して専用の端末で読む「電子書籍」の利用が広がるなか、これまでの新聞や書籍などのあり方について考えるシンポジウムが東京で開かれました。
新聞や出版、印刷などの組合の主催で、東京・新宿区のホールで開かれたシンポジウムには250人余りが参加しました。会場では、今後の新聞や出版物のあり方について議論が交わされ、このうち、印刷業界に詳しい東京大学名誉教授の尾鍋史彦さんは「娯楽情報など一過性のものはデジタルの情報で入手できるが、印刷された書籍や新聞は、読者に知識を蓄積させる大切な役割がある」と話しました。また、作家の落合恵子さんは「新聞や出版物は、ジャーナリズムという視点から、弱者のために何ができるか問い続け、紙か電子かという二者択一の議論ではなく、良質な情報を読者に届けることが必要だ」と述べました。国内では、インターネットや電子書籍の普及で、これまでの紙のメディアの減少が指摘されており、シンポジウムでは紙のメディアの生かし方などについて活発な議論が交わされていました。