「HAYABUSA」のポスターと監督の上坂浩光さん
「はやぶさ」帰還の想像図。左が探査機本体で、右がカプセル。探査機本体は燃え尽きる=米航空宇宙局ジェット推進研究所提供
「はやぶさ」のプラモデル=青島文化教材社提供
【ウーメラ(豪南部)=東山正宜、ワシントン=勝田敏彦】日本時間の13日夜、地球に戻る小惑星探査機「はやぶさ」が人気を集めている。プラモデルや関連本、DVDが驚異的な売れ行き。応援歌もある。ファンは「史上最も愛された探査機」と呼ぶ。
「帰還決定おめでとう!」 地球に戻る最後の軌道修正に成功した6日以降、インターネットの動画サイト「ニコニコ動画」には、祝福コメントが数多く寄せられた。
エンジン故障や燃料漏れ、行方不明……同サイトに投稿された「はやぶさ」のトラブルを解決する技術者たちの物語は、延べ約80万人が見た。
小惑星「イトカワ」の砂が入った可能性があるカプセルを放出後、大気圏で燃え尽きるという最後も共感を呼んでいるようだ。ファンが作詞作曲した応援歌の合唱やピアノ演奏など輪が広がっている。
今月発売されたプラモデルは1万個が完売。探査機や衛星を紹介した「現代萌(もえ)衛星図鑑」(三才ブックス)は発売1年で5刷目になった。
全国16のプラネタリウムで上映されている7年間の旅を再現したCG(コンピューター・グラフィックス)映画「HAYABUSA BACK TO THE EARTH」のDVDは、11日の発売からブルーレイ分を合わせて2千枚を超えた。
監督の上坂浩光さん(50)は「未踏の地に行くロマン。失敗やトラブルを乗り越える姿が命があるかのように感じる。かつてこれほど愛された探査機はなかった」と話す。
一方、米航空宇宙局(NASA)は「はやぶさ」が秒速約12.2キロ(時速約4万4千キロ)で大気圏に再突入する様子の想像図を公表した。本体と分離したカプセルが二つ並んで流れ星のように見えると考えられる。