日本振興銀行(東京都千代田区)をめぐる検査妨害事件で、金融庁から違法性が指摘された商工ローン大手「SFCG」(破産手続き中)からの債権買い取り業務は、同行の取締役会の承認を経て実行されていたことが同行関係者への取材でわかった。取締役会には木村剛前会長(48)=5月に辞任=も出席しており、警視庁捜査2課は、木村前会長も取引の違法性を認識していた可能性があるとみて捜査している。
関係者によると、SFCGからの債権買い取りは、貸金業者に有利なグレーゾーン金利の撤廃などで同社の業績が悪化した08年ごろに始まり、09年2月に同社が経営破綻(はたん)するまで総額1250億円に上った。買い取った債権が不良債権化するリスクがあるため、木村前会長ら4、5人の役員が出席して週1回程度行われる取締役会の承認が必要だったという。
SFCGとの取引は、同行が同社から手数料を取って債権を買い取り、一定期間後に買い戻させる契約になっており、事実上の融資になっていた。手数料は金利に換算すると45・7%で、出資法が定める上限金利(29・2%)をはるかに上回る違法性の高いものだった。同行関係者は「金融に携わる者なら誰でも出資法違反と分かる取引だった」と話す。
債権買い取り業務の担当役員は専務だった。専務を含めた数人の社員は、金融庁が09年6月~今年3月に立ち入り検査をした際、SFCGとの取引などを記した数百通の電子メールをサーバーから削除した銀行法違反(検査忌避)の疑いが持たれている。
木村前会長の事件への関与について、西野達也社長は11日に「関与はない」としていたが、12日に行った会見で、社外取締役で作家の江上剛氏は「捜査中なので差し控えたい」と話した。【酒井祥宏、川崎桂吾】
毎日新聞 2010年6月13日 東京朝刊