【コラム】あまりにひどい「羅老号のうそ」(下)

 この日の出来事は、多くのことを象徴している。国民は現場にいた見学者と同様に、宇宙開発を応援したい気持ちでいっぱいだ。9、10の両日、全羅南道高興郡には打ち上げを一目見ようと約1万人が詰めかけた。しかし、当局と科学者が良心に基づき、現実を速やかに知らせることなく、そのまま沈黙してしまえば、国民は鄭首相のようなコメディー俳優になってしまう。一般人が複雑な現代の科学技術を理解することはほぼ不可能だからだ。

 羅老号が2回目の打ち上げに失敗したことを受け、宇宙開発に関する情報開示の責任がしっかりと果たされているのかをもう一度見直すべきだ。再打ち上げの条件が代表的な例だ。昨年1回目の打ち上げ前、教育科学技術部の関係者は「ロケットを2回打ち上げ、失敗したらもう1回打ち上げることがあり得る」と語った。

 しかし、打ち上げに失敗すると事情が変わった。ロシアが2回目の打ち上げを拒否すれば、それを強要するすべはなかった。ロシアは羅老号が1回目の打ち上げに失敗した直後、ロシア製の1段目ロケットは成功だったが、韓国の技術で開発されたフェアリング(衛星を保護するカバー)の問題で軌道進入に失敗したものであり、再度打ち上げを行う必要はないと主張した。教育科学技術部の関係者は「事実、契約には『打ち上げを要求できる』とだけ規定されている」と語った。

 昨年7月に予定されていた1回目の打ち上げが8月に突如延期されたケースも同様だ。6月に羅老号の1段目ロケットが持ち込まれた際、教育科学技術部と韓国航空宇宙研究院は「ロケットの準備は整った」と語った。ところが、7月15日にロシア側は「ロケットの燃焼試験の準備過程で異常が生じた」として、打ち上げの延期を通告してきた。1回目の打ち上げ時にも今回のようなうそが存在した。事もあろうに科学者たる者がなぜ見え見えのうそをつくのか分からない。ましてや、そんな人たちが宇宙開発を進めるというのは、何ともおかしな話だ。

白承宰(ペク・スンジェ)産業部科学チーム長

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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