記事入力 : 2010/06/12 17:02:01
【コラム】あまりにひどい「羅老号のうそ」(上)
鄭雲燦(チョン・ウンチャン)首相が10日、韓国初の宇宙ロケット「羅老(ナロ)号」2回目の打ち上げ現場で発した言葉は、韓国の宇宙開発史上において長く記憶されることになりそうだ。鄭首相は当日、政府側の出席者として羅老宇宙センターの管制センターで打ち上げを見守った、最も高い地位の来賓だった。
午後5時1分の打ち上げ直後、管制センターは歓声に満ちた。ところが、打ち上げから8分24秒後に羅老号との通信が途絶えたとの放送が流れ、18分後には、皆が押し黙る重い雰囲気に変わった。30分が経過したところで、鄭首相がこの静寂を破るため、冒頭の言葉を発すると、見守っていた人たちは、うなずきながら手をたたいた。
しかし実際は、鄭首相の臨機応変さも拍手もむなしいものだった。見学席の向こうにブラインドで仕切られた管制室では、研究員が何やらひそひそ話をしていた。通信途絶の直前まで羅老号はリアルタイムで映像を発信していたが、1段目ロケットの下部を撮影した映像には、最後の瞬間に白い閃光(せんこう)が映っていた。
レーダー追跡装置は、既に打ち上げから2分17秒後、高度70キロで羅老号が墜落した事実を知らせていた。もちろん、見学者はその事実を知らなかった。現場の技術陣が沈黙したためだ。韓国航空宇宙研究院の関係者が、「56時間後に交信に成功した例もある」とその場のムードを盛り返そうとしたが結局、見学現場は、悲劇と寸劇が入り交じったブラックコメディーと化してしまった。
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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