羅老号失敗:「爆発前にフェアリング分離」

ロシアのメディアが報じる

打ち上げ失敗の責任めぐり攻防

 韓国とロシアの間で、羅老号2回目の打ち上げ失敗の責任をめぐり激しい攻防が繰り広げられている。

 ロシアのメディアは11日、羅老号が2回目の打ち上げに失敗したニュースを伝え、ロケット1段目と2段目の分離、フェアリング(衛星保護カバー)の分離など、韓国の技術が導入された部分で異常が発生した可能性が高い、と報じた。羅老号は、ロケット1段目の完成品をロシアから導入し、打ち上げシステム・ロケット2段目・搭載体(人工衛星)などには韓国の技術が用いられた。

「フェアリングが先に外れた」「1段目と2段目が予定より早く分離」

 ロシア国営放送の「ロシアの声」は10日(現地時間)、ロシアの通信社「インターファクス」の報道を引用し、「羅老号が爆発する前、ノーズコーン(フェアリング)が先に分離した」と報じた。インターファクス通信によると、ロシアのある宇宙航空関係者が、飛行の様子を捉えた映像を分析し、こうした結論に至ったという。つまり、ロケットが爆発する前に、韓国が開発したフェアリングに異常が発生したというわけだ。

 ロシア国営のリア・ノーボスチ通信も、航空産業研究機関の研究員による分析内容を引用し、「ロケットの2段目が予定より早く分離したため、羅老号が打ち上げに失敗した可能性がある」と報じた。羅老号の2段目(フェアリング含む)は、韓国の技術陣が自力で製造した。中でもフェアリングは、昨年1回目の打ち上げが失敗した原因となった。

 韓国の専門家らは、ロシアのメディアが国益のレベルから、自国が製造した1段目のエンジン技術に関する疑いを一掃しようとしている、と見ている。李昌鎮(イ・チャンジン)建国大教授は、「羅老号が送信してきた映像では、フェアリング分離の際に差し込む光を感知できなかった。そのため、フェアリングの分離前にロケットが爆発した可能性が大きい」と語った。

ロシアの技術陣、韓国側の見解に同意するかは未知数

 しかし、ロシアの技術陣が、韓国側の見解に同意するかどうかは未知数だ。1段目のエンジンは、宇宙技術の中でも核心中の核心に当たり、ひんぱんに異常を起こした場合、その国の宇宙技術の水準そのものが疑われる。実際、中国のロケット「長征」は、産業用として開発されたが、1995年に爆発事故を起こして以来、他国からの信頼を失った。中国は最近、別のロケット開発プロジェクトを進めている。

 現在、「検証されたロケット」で他国の宇宙飛行士や衛星を運搬する事業を行っているのは、米国・ロシア・ヨーロッパなどごく少数に限られる。こうした状況の下で、ロシアが素直に自分たちの欠陥を認めるのは、容易ではない。これらのロケットは、打ち上げの費用が少なくとも数億ドル(数百億円)に達し、多額の収益をもたらしている。ある専門家は、「ロシアが自分たちの技術に欠陥があることを認めれば、産業用ロケット市場で大きな打撃を受けることも考えられる。そのため、責任をできる限り韓国側に転嫁しようとする可能性が高い」と語った。また、韓国政府関係者の一人も、「韓国側が、“羅老号は1段目のエンジンで飛行している最中に爆発した”と指摘したことに対し、ロシア側が防御に乗り出したようだ。宇宙開発で進むべき道のりはまだ遠いことから、必ずや打ち上げを完遂できるよう、最善を尽くす」と語った。一方ロシアは、羅老号と関連し、韓国に1段目のロケットを再度提供できるのは、ロケット1段目の異常が原因で打ち上げが失敗したという結論に至った場合に限る、という立場を堅持している。

白承宰(ペク・スンジェ)記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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