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原油流出:「検索サイト操作」でBP社に批判

2010年6月11日

Eliot Van Buskirk


BP社ロゴのパロディ版。Image:Epkes.com、サイトトップの画像は別の英文記事より

メキシコ湾原油流出事故に関連して、BP社は原油の流出を止められないだけでなく、同社のイメージコントロールに関しても困難にぶつかっている。

BP社は最近、「原油流出」などの急上昇中の検索キーワードを、『Google』『Bing』『Yahoo』などの検索エンジンから購入し、同社の流出対応を宣伝する「スポンサーサイト」へのリンクがよく目立つ位置に来るようにしていることが判明し、批判を浴びている。

この宣伝サイトには、蛍光イエローのブーツを履いた作業員らが、比較的汚染の軽い砂浜を掃除している写真が掲載されている。明るい日射しが照りつけ、画面奥では青い海に白い波が立ち、手前を悠然と横切る海鳥は、油にまみれてなどいない。別の写真は、これとは異なる現実を示しているのだが。

「われわれがGoogleなどの検索エンジンで検索ワードを購入したのは、メキシコ湾岸におけるわれわれの対応について、人々が簡単に見つけられるようにするためだ。また、人々が苦情を申し立てたり、浜辺への原油の漂着を連絡したり、ボランティアに応募したりするための情報への主なリンクを簡単に見つけられるようにするためでもある」と、BP社の広報担当者のToby Odone氏は、キーワード購入をすっぱ抜いたABC Newsに対して語っている。

BP社は、原油流出の第一報から1ヵ月ほどたってからFacebookやTwitterなど「ソーシャル・ネットワーキング活動」に本腰を入れ始めた、とWOMマーケティング協議会のDavid Binkowski氏は指摘する。しかし同社は、こうした活動で成果をあげているとはいえない。

BP社はおそらく、法務専門家から、事態収拾の責任を認めるほかは、過失を謝罪したり認めたりしないようアドバイスを受けているのだろう。もし謝罪すれば法廷で不利になるのかもしれないが、謝罪しないという方針は、人々と同社の「対話」を妨げている。

BP社がCEOであるTony Hayward氏をテレビに登場させて大々的な広報活動を始めたときには、同社はそのキャンペーンに5000万ドルも費やしているとして徹底的に叩かれた。同じ額をたとえば、原油流出によって仕事を奪われた地元住民のために使えばいいのに、と批判されたのだ――この程度の金額など、同社の総資産を鑑みれば、大海の一滴のようなものなのだが。

TwitterにはBP社の公式フィードも流れているが、それよりはるかに人気があるのはパロディー版だ。[「BP Public Relations」が出しているもので、フォロワー数は15万を超える。「7500万ドルの損害賠償は高すぎる! 第1四半期の利益が55億2500万ドルになってしまう」などのツイートを行なっている。(原油流出事故に関して大手企業が支払う損害賠償額の上限を7500万ドル(約70億円)とする規定があり、この規定を撤廃する法案も準備されている)]

広告は、「知ってもらうには良い方法だが、対話という視点からすると、最良という方法ではない」とBinkowski氏は指摘する。「何が起こっていて彼らが何をしているかについて、人々がより理解できるような、なんらかの対話があると良いのだが」

ソーシャルメディアは強力なツールだが、先人の教えの通り、道具というのはそれを使う人の力量次第だ。われわれはメキシコ湾岸に奇跡が起こるのを待ち望んでいるが、BP社は人々の反応に奇跡が起こることを期待しないほうが賢明だろう。

[日本語版:ガリレオ-江藤千夏/合原弘子]

WIRED NEWS 原文(English)

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