羅老号失敗:事故原因、共振現象説が有力(下)

慌ただしいスケジュール

 もう一つ指摘されているのは、打ち上げ日程があまりに慌ただしくなかったかという点だ。羅老号は今月7日、電気的異常で発射台への取り付けが5時間も遅れた。9日には消火設備のトラブルで打ち上げが延期された。

 しかし、韓国とロシアの技術陣は徹夜で作業を行い、1日後に打ち上げを行った。このため、ロシアの技術陣が打ち上げを強行したのではないか、との推測を生んでいる。

 総勢約150人から成るロシアの技術陣をめぐっては、滞在費負担やホームシックに耐えられず、速やかな打ち上げを主張したのではないかとの見方が出ている。あるロシア側技術者は「羅老号のせいでストレスを感じている」として、釜山で自殺を図ったが、未遂に終わった。

 ある航空宇宙専門家は「ロシア側技術陣の滞在費は契約費用に含まれており、別途支払われることはない」と指摘した。韓国航空宇宙研究院(KARI)は「今回の打ち上げの失敗の原因は、7日と9日のトラブルとは関連が薄いように思える。打ち上げ日程の決定に際しては、ロシアと十分に協議を行った」と説明した。

契約自体に問題、原因究明に障害も

 責任の所在を明らかにすることも重要だ。状況からみて、1段目ロケットを製作したロシア側技術陣は責任を避けられない。1段目ロケットは、契約に基づき、韓国側技術陣が関与できないことになっている。使用された部品、技術はすべてロシアのものだ。ロシアの責任問題は、3回目の打ち上げ計画とも絡むため、双方が責任の所在を明確にする必要がある。

 科学界の一部からは、羅老号の開発と打ち上げを推進する最初の段階から問題があったとの指摘が出ている。1999年に韓国政府は「韓国宇宙発射体計画」を策定し、ロケットの独自開発を進めた。しかし、2001年以降は、独自開発よりも既に検証済みの先進国の宇宙技術を導入すべきとの声が強まり、結局外国との協力へとかじを切った。パートナーにロシアを選んだのは、高効率の液体酸素ロケットエンジンを保有することと、そのほかの国が協力を拒否したことが理由だ。結局、KARIは04年、ロシアのフルニチェフ社と契約を結んだ。

 しかし、契約内容はその後修正を余儀なくされた。ロシアが宇宙技術移転を禁止する宇宙技術セキュリティー協定(TSA)の締結を求め、技術移転ではなく、完成品の販売へと契約内容の変更を迫ったからだ。結局、韓国側は別の技術習得機会を得る条件で、当初の契約を変更する道を選んだ。ある航空宇宙分野の専門家は「1段目ロケット技術を知る手段が閉ざされており、失敗原因の究明は難航する」と語った。

白承宰(ペク・スンジェ)記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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