【ニューヨーク=山川一基】米インターネット検索最大手グーグルに対する中国の検閲問題で、グーグルが欧米当局と協力して世界貿易機関(WTO)へ提訴する準備を進めていることが11日、明らかになった。検閲は自由な貿易を阻害すると主張している。ロイター通信が伝えた。
グーグルは今年3月、中国政府が検索を制限する検閲をしているとの理由から、中国本土での検索事業を停止。香港に拠点を移している。
同社幹部はワシントンで開かれた討論会で、検索結果が制限されると、中国に本拠を置く検索サイト「百度(バイドゥ)」などとの競争で不利になるとして、「検閲は貿易障壁に当たると確信している」と主張。米通商代表部や国務省、商務省、欧州当局と提訴に向けた協議をしていることを明らかにした。
ネット検閲問題が米中間で改めて摩擦を引き起こす可能性が出てきた。ただ、これまでWTOでネット検閲が取り上げられたことはなく、提訴しても問題解決には数年かかる可能性があるという。米国ではクリントン国務長官が、ネット規制は基本的人権を侵害すると発言している。