ES細胞:黄禹錫博士は今どこで何を?(下)

 しかし、今なお黄博士は研究を続けている。07年以降、秀岩財団の研究者と共に、国際雑誌に少なくとも15本以上の論文を掲載している。すべてクローン関連だ。科学誌「ネイチャー」や「サイエンス」には掲載していないが、引き続き論文を発表している。

 秀岩研究院の関係者は、「研究員として数十人程度が働いている」と話した。研究員らは黄博士の弟子もいれば、新たに採用したケースもあるという。また、黄博士の弟子やソウル大獣医学科出身で、今もソウル大に在籍する教授らとも研究が進められている。

 外部で黄博士と研究を進めているチームは五つ以上あり、該当チームの関係者が黄博士と連絡を取り合っている。黄博士は動物クローンでは成果を出しているが、ヒト胚(はい)性幹細胞(ES細胞)の研究には着手できていない。政府が承認を出していないからだ。

 そのため、黄博士はES細胞の研究を東南アジアで行っているという。黄博士の共同研究者の中には、ES細胞の複製が虚偽だったという調査結果を覆す研究を進めている人もいる。

 一方では商業化も進められている。黄博士は、「エイチバイオン」という会社を設立し、代表を務めている。公式の肩書きだけ見ると、教授から企業家に変身したかのように見えるため、さまざまな意見が多い。

 また、コスダック(KOSDAQ=韓国店頭市場)には「黄禹錫テーマ株」がある。ジェイコムが代表的だ。この会社は、「黄博士と直接関係はない」と記者会見まで開いたが、投資家は聞き入れていない。黄博士の義母が同社の代表理事を務めている上に、ES細胞の研究をしているからだ。

鄭晟鎮(チョン・ソンジン)記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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