一方、アイパッドを巡る暗いニュースもある。「アイパッドの工場で連続自殺」がそれだ。
中国の江南地域にあるアイパッドの工場で、厳しい勤務体系に耐えかねて、工場に勤務する若い労働者が次々と自殺しているというのである。これにはアップルも、また、中国で工場を運営する台湾の企業も調査に乗り出している。
自殺者が相次ぐアイパッドの中国工場
自殺者が止まらないアイパッドを製造している台湾台湾系大手電子機器メーカー、富士康集団(フォックスコン)中国工場〔AFPBB News〕
また、アイパッドとは違うが、アイパッドの工場と同じように労働問題が発生している工場が中国の中で増えている。中でも、ホンダの工場に焦点を当てたのがこの記事だ。「不安が怒りに変わった中国人労働者の反乱」
英国のフィナンシャル・タイムズ紙が、中国の広州にあるホンダ系の工場で起こっている大ストライキを取り上げている。
江南地域では、アイパッドの工場で自殺者が相次いでいるように、以前から台湾系の進出企業には問題が多かった。しかし、賃金を高く払い待遇も良かったとされる日系企業でもこのような事態が発生していることに、大きな時代の変化を感じる。
中国では、このところ世代間格差が急速に広がっている、1970年代以降の生まれを70后、80年代以降を80后、90年代以降を90后と呼ぶ。彼らの間では、日本の同年代たちよりもはるかに大きな世代間ギャップがあるという。
70后は日本的に言えば、既にアラフォー。80后もアラサーである。江南の工場で働く中心はいまや90后が中心になっている。つまり、台湾系、日系が「中国は世界の工場」として成長を促した時代とは、働き手が全く異なっているのだ。
人生観も180度違うと言っていいほどの開きがあるらしい。企業の経営者がその変化を感じ取っていたのかどうか。今後中国での経営を広げる時には、きちんと検証しなければならない点である。
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