林寛子さん

　７０年代のアイドル全盛期はオーディション番組が盛んだった。そのひとつ、フジテレビの「君こそスターだ！」からは石川ひとみ、高田みづえらがデビューしているが、その第１回グランドチャンピオンが林寛子さんだ。今どうしているのか。

●「再婚は多分ないでしょうね」

「このカラオケサロンは４月３０日で開店３周年を迎えました。芸能関係のお仕事がオフの日は必ず出勤してます。だって、それがオーナーの務めでしょ。店の一番のウリは“ナマ寛子のナマ歌”かな、フフフ」

　東急池上線雪が谷大塚駅から徒歩４分、中原街道沿いの「ラブリー寛寛」で会った林さん、こう言ってほほ笑んだ。地下１階、約１５坪の店内はカウンターを入れて席数２０。エントランスで彼女自ら履き替え用のスリッパを揃え、客の応対をしている。

「コンセプトは私のプライベートサロンで、ここにいらっしゃる方はみんなお客さま。私がお出迎えするのは当然です。といっても、飲み放題・歌い放題、税・サ込みで１時間３０００円から。とってもリーズナブルでしょ」

　さて、ＮＨＫ朝の連続テレビ小説「旅路」や「繭子ひとり」などに出演して名子役として脚光を浴びた林さんは７３年、「君こそスターだ！」（フジテレビ）の第１回グランドチャンピオンに輝き、翌年、「ほほえみ」でレコードデビュー。６曲目の「素敵なラブリーボーイ」のヒットでアイドルの座を不動のものにした。そんな人気絶頂だった８０年４月、２０歳で俳優の黒沢久雄さんと結婚。男性ファンはガックシしたが、１男２女の子育てが終わってからはコメンテーター、リポーターで活躍し、００年、あべ静江、大場久美子、沢田亜矢子で熟女ユニット「女盛りゲザデレタ」を結成して話題になった。

　また、林さんが参議院選挙に自由連合から出馬し、周囲を驚かせたのは０１年７月。しかも選挙区は縁もゆかりもない埼玉選挙区だった。

「（黒沢）久雄さんと自由連合の徳田虎雄代表が懇意にしてて、私は断ったのに、結局、みこしに乗せられちゃったんです。埼玉選挙区だったのは当時、保守党党首だった扇千景さんの本名が林寛子で、同じ全国区比例代表で出馬すると『林寛子』票が半々になり、扇さんを利するだけだから、浮動票が見込める選挙区を選んだからです」

　獲得票数は６万６６７６票。あっけなく落選した。

「選挙？　とんでもない。もうこりごりですよ。大の仲良しの（あべ）静江さんも今回の出馬騒動で仕事がキャンセルになったりして、大変だったみたい。有名だからという理由だけで経験がないタレントが選挙に出るのは、私、疑問ですね」

　０３年に離婚。４年後、前夫は再婚。林さんは以来独身だ。

「再婚は多分ないでしょうね。束縛から解放され、やっと自由になれたんですもん」

　この４月から品川美容外科のイメージキャラクターをしている。

「あと、歌にも力を入れていくつもり。７月１６日に長野市のホテル国際２１で静江さん、大場久美子ちゃんとディナーショー『アイドル同窓会』を予定してます。昭和のアイドル歌謡曲をご一緒に歌いませんか？」

（日刊ゲンダイ2010年6月8日掲載）