森口博子（元祖バラドル）

●自ら作詞・作曲も…

　今年、芸能生活２５周年を迎えた“元祖バラドル”の森口博子（４１）。今月１２日にはそれを記念して新曲「ＰＵＺＺＬＥ」をリリース。１６日には神奈川県川崎市、また２３日には大阪でもスペシャルライブが開かれ、「みなさんのおかげで２５周年を迎えることができましたぁ」と笑顔を振りまいていた。

　森口にとっては２年半ぶりの新曲ということになる。この１０年ほどを見ると、ほぼ２年に１回のペースで新曲を出しているから、歌手としては順風といっていいだろう。ただ、目立ったヒット曲がない。バラドルに方向転換してからは、もう諦めたのだろうか。

　森口はＮＨＫ「勝ち抜き歌謡天国」での準優勝をきっかけに８５年、アニメ「機動戦士Ｚガンダム」のオープニングテーマ曲「水の星へ愛をこめて」でアイドル歌手としてデビューした。歌はヒットし、このまま突っ走るかと思われたが、しかしその後は鳴かず飛ばず。アイドルとしての花は開かなかった。

「そのころ所属事務所には社を挙げて売り出していたアイドルがいて、“同じ事務所にアイドルは２人いらない”と言われたこともあったそうです。１７〜１８歳の多感な少女がそう言われて傷つかないはずがない。ヤケになったことも多々あったと思いますよ」（芸能リポーター）

　そんな森口が転機を迎えるのは８９年。フジテレビ系の「ものまね王座決定戦」に出場し、工藤静香の物まねで見事優勝。これをきっかけにバラドル路線へと舵（かじ）を切り替え、その後、「笑っていいとも！」（フジ）のレギュラーを獲得。底抜けに明るいキャラがウケてブレークした。

●足りないのは婚活だけ

　追い風はさらに吹き、９１年にはアニメ「機動戦士ガンダムＦ９１」の主題歌「ＥＴＥＲＮＡＬ　ＷＩＮＤ〜ほほえみは光る闇の中〜」がヒット。この年のＮＨＫ「紅白歌合戦」に初出場を果たした。ちなみに紅白には６年連続して出場しているが、よほどうれしかったのだろう。当時を「森口が歌手だったんだと認識してもらった」と森口は振り返っている。

　歌の世界にはいまもこだわりを見せている。森口はこれまで数多くの楽曲を手掛けており、今回のＣＤに収録されている「だぁーい好きだからね。」も自ら作詞、作曲。このひとつをとってもそれがうかがえよう。

「森口は、いい意味で貪欲（どんよく）な歌手だと思います。作詞、作曲を手がけるのはその表れ」（音楽関係者）

　７月には、ガンダムシリーズを収めたアルバム「シングル・ベスト・コレクション」も発売予定だ。まさにアニメファン垂涎（すいぜん）のアルバム。火がつくとしたらこちらが早そうだ。ともあれ、バラエティーをはじめ、いまではドラマや映画でも活躍する森口。仕事は順調といっていい。最近ではミュージカルなどにも果敢に挑戦し、目下、「アニー」に出演中だ。しかし“婚活”のほうはまだまだ続きそうな気配である。

（日刊ゲンダイ2010年5月31日掲載）