[PR]
ニュース:経済・IT RSS feed
中国、格安賃金時代の終わり 工場ストライキ続出 それでも最大市場に魅力 (2/3ページ)
広東省では、2004〜05年にも待遇改善を求めるストライキが頻発し、多くの日系企業が労働争議に直面した。内陸出身の若い出稼ぎ労働者が足りなくなり、外資系企業の進出が盛んな同省広州市でみると、最低賃金は世界同時不況に見舞われた09年などで横ばいとなったものの、過去7年間でほぼ倍増した=グラフ。
■薄れるハングリー精神
日本貿易振興機構(ジェトロ)海外調査部の中井邦尚氏は沿岸部で人手不足が広がる理由について、「一人っ子政策による若年人口の減少に加え、インフラ開発で内陸部にも就業機会が増えたため」と分析する一方、「若者のハングリー精神が薄れてきたことも原因だ」と指摘する。
従業員の相次ぐ自殺が問題となった広東省深●市の台湾系大手電子機器メーカー、富士康(フォックスコン)の従業員は海外メディアに「毎日が昨日と同じことの繰り返し。怒鳴られっぱなしで、すごく厳しい」と、一日12時間の立ち仕事への不満をまくし立てた。実家への仕送りのためきつい仕事をいとわなかった若者の意識は変化している。
経済発展に伴う貧富の格差への不満を解消しようと中国政府が08年1月に施行した労働契約法も、ストにつながる労働者の権利意識を後押ししている。法律は解雇権の制限や退職金支払い義務を強化する内容で、世界同時不況で運用があいまいになっていたが、「経済の急回復で徹底されはじめた」(中井氏)。
カジュアル衣料品店「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングはバングラデシュで合弁工場を新設するなど、2年前まで9割超だった中国での生産比率を85%に低下させた。賃金上昇など生産拠点を中国に一極化するリスクを避けるためで、中国での生産比率を今後3年間で3分の2まで圧縮する計画だ。