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複数力士が野球賭博、自己申告受け協会発表

 複数の力士が野球賭博にかかわっていたことを発表する、日本相撲協会の陸奥生活指導部長(右)と八角同副部長=両国国技館
 複数の力士が野球賭博にかかわっていたことを発表する、日本相撲協会の陸奥生活指導部長(右)と八角同副部長=両国国技館

 日本相撲協会は11日、複数の現役力士が野球賭博をしていたことを発表した。力士のしこ名、時期や賭け金の規模などについては明らかにしなかった。暴力団が絡んでいるかどうかも不明。協会は師匠を通じた自己申告による発覚だった事情を酌むとし、ひとまず武蔵川理事長(元横綱三重ノ海)による厳重注意処分にとどめた。週刊新潮で大関琴光喜らの野球賭博疑惑が報じられたが、琴光喜を含めて記事で取り上げられた力士は今回、含まれていない。警視庁は週明けにも協会から報告を受け、必要と判断した力士を事情聴取する。

  ◇  ◇

 現役の力士が野球賭博に手を染めていた。陸奥広報部長(元大関霧島)らによると、賭博を申告したのは「数人」。この日の関取と親方衆を対象にした講習会の出席者からも申告者が出たため、関取も含まれているとみられる。野球賭博は「仲間内によるもの」だと、執行部は申告を受けている。

 協会は自己申告を受けての発覚であることを加味して、対象者への処分を理事長による厳重注意にとどめた。力士のしこ名はもちろん、部屋、年齢、詳細な人数や申告した時期に至るまで「個人を特定できる情報はお話しできない」(八角広報副部長)と一切明かさなかった。疑惑の発端となった琴光喜は含まれていない。

 またこの日、「上申書」と題されたアンケートが各部屋にファクスされた。過去5年以内について「賭博をしたか」「賭博をした場合、その種類は」などの設問がある。週明けをめどに回収される上申書で賭博の事実を認めた者は『自己申告者』扱いとなり、処分も情状酌量の対象となる。

 協会は今回までに申告した力士については甘めの裁定をし、新たに不法行為をした力士には厳罰を科す姿勢で臨む。武蔵川理事長も「今回は素直に謝罪をしたので厳重注意としました。今後、賭博行為をした者は理事会において厳しい処罰をします」とのコメントを出した。

 しかし、角界以外は“大甘裁定”に納得しそうにない。協会の所管官庁である文科省は「違法行為であることに変わりはありません。週明けにも協会の方に来てもらい事情を聴くことになる」と調査を進める方針。また、野球賭博を認めた以上、警視庁が捜査に乗り出す可能性もある。協会が“自首扱い”として情状酌量したとしても、法的、社会的な責任を問われかねない。

 理事長は講習会で「賭博に関与した者は名乗り出るように」という趣旨の通告をした。今後も生活指導部特別委員会が調査を続けるが、違法性が強いことが分かれば警察に通報する方針だ。疑惑は疑惑ではなくなった。すべてが明らかになるかは、各協会員の良心にかかっている。

(2010年6月11日)
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