力士が野球賭博 しこ名明かさず厳重注意
またも角界で衝撃的な不祥事が発覚した。日本相撲協会は11日、複数の現役力士が野球賭博に関与していたことを認める、前代未聞の会見を行った。東京・両国国技館内の相撲教習所で行われた生活指導部特別委員会の講習会後、武蔵川理事長(62=元横綱三重ノ海)が参加した親方、関取に対し、野球賭博をしたと自発的に申告した力士がいたことを説明。その後、生活指導部の陸奥部長(51=元大関霧島)らが会見したが、しこ名は明かされず、処分も厳重注意にとどめる意向を示した。しかし警視庁が、週明けにもこの件に関して動くことを決めるなど、波紋を広げている。
非公開で行われた講習会後、報道陣に配られた紙に衝撃の事実が記されていた。
「現役力士が野球賭博にかかわっているとの報道を受け、日本相撲協会として調査をしてきたところ、報道された力士以外の複数の力士から賭博をしたことがあるとの自己申告がありました」。
週刊誌で野球賭博との関与が報道され、5月の夏場所中に警視庁の事情聴取を受けた大関琴光喜ではない、賭博にかかわった現役力士の存在を認めた。その後の会見で生活指導部副部長の八角親方(元横綱北勝海)は「(賭博の種類は)野球賭博。数十人ではなく数人? はい」と話した。
その力士のしこ名、人数、番付、賭け金などは「将来があることなので」(陸奥親方)と、一切明かされなかった。当事者からは「仲間うちでやった」との報告を受けており、また自発的に申告してきたことに情状の余地があるとみて、相撲協会は口頭による厳重注意だけにとどめた。
会見で陸奥親方が「甘い部分があった」と話せば、八角親方も「巡業中の宿舎で花札をやるようなあしき伝統、習慣があった」と、相撲界の体質の問題点を認めた。武蔵川理事長は「今後、賭博行為をした者は理事会において厳しい処罰をします」と広報部を通じてコメントした。厳罰は「今後」との見解を示した形だ。
同協会は早速、全51部屋の親方や力士らに向けて、過去5年の賭博に関するアンケートをファクスで送った。賭博をしていた場合、種類や時期などを明記するもので週明けをメドに回収する。武蔵川理事長は、講習会後の親方や関取への説明の際に「他にもいるなら申し出てきなさい」と訴えており、自己申告には寛容な措置を取るつもりだ。
今回の対応は、角界に賭博の「闇」が広がっていたことを公開したことになる。そして相変わらず甘いと思える「内部処理」。週明けにも警視庁、監督官庁の文部科学省が動く。またもファンの信頼を裏切った形の日本相撲協会への対応が注目される。
[2010年6月12日8時6分 紙面から]
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