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永六輔「土曜ワイド」1000回

77歳 自然体トーク4時間半…TBSラジオ

77歳にして毎週4時間半の生放送をこなす永六輔(左)と番組アシスタントを10年務める外山恵理アナウンサー
番組開始当時の永(左)と初代アシスタントの長峰由紀アナウンサー

 永六輔がホストを務めるTBSラジオ「土曜ワイド ラジオTOKYO 永六輔その新世界」(土曜前8・30)が、12日で放送1000回を迎える。4月に喜寿(77歳)を迎えた永が「自然体」で臨むという4時間半の生番組は、首都圏のラジオで常にトップクラスの人気を誇っている。(笹島拓哉)

 番組は1991年4月に始まった。アシスタントの女性アナウンサーやリポーターの顔ぶれなどは変わったが、冒頭のトークコーナー「六輔六日間〜あの町・この町・旅先小町」、交流のある著名人をゲストに迎えて対話する「六輔交遊録」など基本的な構成は変わっていない。

 「六輔六日間」は、永が番組のある土曜以外の6日間の出来事を語るもの。「番組が始まった頃は旅の話が多かった。今は大半が東京にいるので、東京の話が中心」と、永の生活に伴って話の内容は変わってきている。

 開始当初から番組に携わる田辺英朗プロデューサーは「東京に暮らしている人に寄り添う番組という姿勢を貫き、永さんも東京弁で話す。街の情報を伝える番組なので、宣伝目的のゲストは出演しない」と説明する。番組名にTBSの旧社名「ラジオ東京」の名残があるのも、「古き良き街のラジオ」という味わいを目指しているためだ。

 聴取者からの意見ははがきや手紙が基本で、毎週数百通が寄せられる。永は収録前日の金曜に行われる打ち合わせで便りを受け取り、すべてに目を通す。そのため、ほとんど寝ずに生放送に臨むこともしばしばあるが、「はがき、手紙は、ラジオを聴いて筆を執り、切手をはって、ポストに投函(とうかん)する。電子メールやファクスと同列にしたくない」との思いから続けている。

 事前に細部まで決めることはせず、その時々の流れを重視して番組を進める。「聴取者の立場で、同じように驚いたり、怒ったりする。台本があるとつまらなくなる」と永は狙いを語る。スタッフが事前に聞かされていない話題を切り出すことも、番組の魅力の一つといえる。そんな臨機応変の進行のため、トークの合間に予定されていた曲が、かからないこともしばしば。5日の999回目の放送でも、様々な話題でスタジオが盛り上がり、音楽は1曲もかからなかった。

 田辺プロデューサーは「音楽を交えた方が話題の転換をしやすいが、永さんは常に話したいことがある人。そんな永さんの個性を生かした番組作りも長寿の原動力」と話す。これまでも海外渡航や目の手術などで永の出演が危ぶまれたことがあったが、番組を休んだことは一度もない。

 ライフワークと言えるラジオについて、永は「肩ひじを張って作っても聴取者には届かない。聴く方も、やる方も一息つける。それこそがラジオだと思う」と語っていた。

2010年6月9日  読売新聞)


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