広がった事件の波紋
広がった事件の波紋 06/09 19:39

この汚職事件は様々な方面に波紋を広げました。

きょうの裁判の詳しい解説を前に、これまでの動きを振り返ります。

●福岡県警博多署の会見
「収賄被疑者は当時福岡県副知事、現在の無職の中島孝之67歳であります。贈賄被疑者は福岡県町村会会長・山本文男84歳であります」

今年2月に逮捕された中島孝之被告(68)と山本文男被告(84)。

逮捕前、中島被告は、RKBの取材に対し、町村会との癒着を全面的に否定していました。

●中島孝之被告(去年12月)
「私は接待を受けるとか、受けないとかの立場にない。町村会に対する職務権限がないから」

しかし問題が明るみに出ると、中島被告は公の場で一切、説明することなく辞任しました。

●山本文男被告(今年3月)
「添田町に何一つ迷惑をかけていない」
「(今回の事件の被害者は)私」

一方、事件の被害者は自分だと話し、今も添田町長を続ける山本被告。

町では、町長のリコール=解職を求める住民投票の、実施に必要な数の署名が集まりました。

今後、有効性が確認されて、住民投票が実施され、過半数が賛成すれば、山本被告は失職することになります。

●リコールする会・矢野一義代表
「町民の皆さん全員が、良識ある判断をもって、住民投票に参加されることをお願いします」

町村会をめぐる裏金接待問題では、県の調査委員会が中島被告をはじめ、当時の商工部長など県の職員5人の接待を認定しました。

懲戒処分を受けた商工部長は、退職後すぐに、県が出資する財団法人の専務理事に、県のあっせんで天下りしています。

●福岡県・麻生渡知事
「批判があるとは思いません。人間の能力を生かしていくことは、非常に大切なこと。処分は処分できちんとやりましたから」

こう語る麻生知事ですが、県民からは「倫理感の欠如」を問う声も上がっています。

1999年に副知事に就任し、丁寧な根回しで、複雑な利害関係が絡む問題の調整役を果たし、県庁内では、「麻生知事の懐刀」「影の天皇」などと呼ばれていた中島被告。

一方、10期39年に渡り添田町長を務め、全国町村会の会長として、国会議員にも強いパイプを持った地方行政のドン・山本被告。

2人に共通するのは、同じポストに長く座り続けることで、周囲への影響力を増していったということです。