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【今日の読み物(スコープなど)】

連立出られぬ国民新 郵政法案危うく 参院選展望なし

2010年6月12日 紙面から

 郵政改革法案の処理をめぐる与党間協議の末、国民新党は亀井静香代表が金融・郵政改革担当相を辞任したものの、連立政権にはとどまった。米軍普天間飛行場移設問題で五月末、党首が罷免されて連立も離脱した社民党とは対照的な道を選んだ。民主党に約束をほごにされた怒りという感情と、現実の間で揺れ動いた結果だが、思い切りの悪さを印象付けた。 (荘加卓嗣)

 「今国会でやるに決まっている。だから連立を組んでいる。首相もそう約束した」

 民主党で郵政法案の処理先送り論が強まっていくのを、亀井氏は繰り返しけん制した。四日と八日に菅直人首相と会談した際も、「今国会で成立」を念押ししたという。

 ところが、菅内閣の支持率が高いうちに参院選になだれ込みたい民主党は、最終的に法案処理の先送りを国民新党に通告した。

 亀井氏は激怒し、十一日未明まで断続的に行われた党議員総会では、閣僚辞任だけでなく、連立離脱や代表辞任も口にした。国会議員九人も、一時は連立離脱論が大勢を占めたという。

 それが、「臨時国会で速やかな成立を図る」という妥協案を受け入れたのは、連立離脱の損得を冷静に計算した結果だ。

 民主党には腹が立つが、連立を離脱し郵政法案の成立が図られなければ元も子もない。支持団体の全国郵便局長会(全特)の支援も揺らぎかねず、下地幹郎国対委員長らが「今離脱したら、参院選で全員が討ち死にだ」と説得したようだ。

 半面、離脱カードをちらつかせた手前、抗議の意を形で示す必要があった。それが閣僚辞任だった。

 結局、国民新党は支持団体への顔向けを果たしたうえに、後任は亀井氏が推した自見庄三郎幹事長になったので、閣僚ポストも失わなかった。

 うまく立ち回った姿は、国民の目にはどう映るか。

 亀井氏は「民主党は猛省せねばいかん。選挙のために政治をやっているわけじゃない」と、民主党への怒りが収まらない。

 それは、野党に転じれば埋没しかねない国民新党の足元を見られたことへの怒りでもあったかもしれない。

 

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