米倉「いつかロキシーとしてＮＹの舞台に立ちたい」…インタビュー

１１日、赤坂ＡＣＴシアターでインタビューに応じ、ブロードウェーへの夢を語った米倉涼子

　女優・米倉涼子（３４）が今月９日から東京・赤坂ＡＣＴシアターで、２年ぶり２度目の再演となるブロードウェーミュージカル「ＣＨＩＣＡＧＯ」（７月４日まで）に挑戦している。舞台の合間を縫ってスポーツ報知のインタビューに応じた米倉は「『ＣＨＩＣＡＧＯ』には一目ぼれした」と、主人公・ロキシーを演じることへの喜びを語り、「いつかは本場ニューヨークの舞台にロキシーとして立ちたい」と夢を披露した。

　０８年の初演から約２年ぶりの再演。兵庫・西宮で４日から３日間の公演を終え、９日に東京公演が開幕した。この再演は、初演の千秋楽から懇願していたもの。９日の開幕前には「何ものにも代えられない、宝石で言ったらダイヤモンド」と「ＣＨＩＣＡＧＯ」を表した。４０か国以上で上演されている名作だが、米倉が初めて観劇したのは０２年のニューヨーク・ブロードウェー。以降、各国の公演を計１０回以上も観劇した。

　「魅力？　分からない。なんかグサッてきちゃったんです。例えば人を好きになる時って『何でこの人を』って思うでしょ。私は人に一目ぼれはしないんですけど、これ（ＣＨＩＣＡＧＯ）に関しては一目ぼれ。生まれて初めての一目ぼれです」

　待望の再演だったが、２年のブランクに、けいこ入り当初は体が悲鳴を上げた。

　「体力が確実に落ちていましたね。（初演で経験したにもかかわらず）何をやっているのか分からなくって…」

　４歳からクラシックバレエで鍛え、常に抜群のプロポーションを保ってきた。が、映画の撮影などで本格的なダンスからは遠ざかっていた。

　けいこ前に行われる“地獄”の準備運動。約３０分、ヨガを行い、共演の大澄賢也（４４）が考案した「ケンヤズ・ブートキャンプ」を１時間。反復横跳び、腹筋を２０×４セット。体をほぐすには十分すぎる“豪華メニュー”だが、日本を代表するダンサーぞろいのメンバーに付いていった。

　「私をプロのダンサーとして扱ってくれるのは、とてもうれしいこと」

　仲間の心遣いがエネルギーになっている。今回は、さらに米倉が常に背中を追う大物が一緒に舞台に立つ。ブロードウェーで活躍するベテランミュージカル女優のアムラ＝フェイ・ライト（５０）が、米倉演じるロキシーのライバル、ヴェルマ役で出演している。

　「１０年間も（ＣＨＩＣＡＧＯを）やり続けている方だし、目指すものが高い。（ほかのキャストの意識も）また一段とレベルが上がったな、と感じています」

　アムラはキレのある踊りや力強い歌声に加え、日本語のセリフにも挑戦している。今年４月、ブロードウェーを訪れた時に初対面し、その人柄にも感銘を受けた。

　「（技術的な面も含め）本当に尊敬できる方。まず（出来栄えに簡単に）納得しないし、今も（与えられた役を）やれるところまでやっている」

　国籍や話す言葉は違うが、互いに表裏のない素直な性格だ。

　「（ステージで）支え合う気持ちは日本人以上。だから、余計に気が合うんですよ」

　最高のパートナー、と至福の喜びを感じている。

　最近は、０６年のドラマ「けものみち」や同年の初舞台「黒革の手帖」など悪女役で存在感を見せてきた。「ＣＨＩＣＡＧＯ」で演じるロキシーも、不倫をし、その相手を殺害。亭主をだまして弁護費用をねん出させ、はては裁判の陪審員までだます…という、希代の悪女だ。同じ女性として、ロキシーをどう見ているのか？

　「ああいうふうになったら楽しいだろうな、と…。（相手をだます、という）頭の回転が速い。悪いヤツとは思っていないんです。とても素直な気持ちを正直に出す、そんな子供のような女性。ロキシーは一番、残酷なんだけれども、最後には一番の成功を収めてしまう…だから、すごく演じがいがある」

　極めつけの悪女＝ロキシーを演じた米倉が今後、演じたい役柄は何だろうか？

　「（セクシーコメディーの）『まいっちんぐマチコ先生』がやりたい。いじめられる役もやってみたいし、負け組の女もやりたい。（０４年にテレビドラマで演じた）『奥様は魔女』のありさのような役もまたやってみたいんです」

　さらなる“変身”に意欲を見せた。

　舞台は７月４日まで続く。見どころを聞いた。

　「セリフです。面白いストーリーなので、ちゃんと言葉を聞いてほしい。すべてのセリフに意味があって、よくできているのが伝わると思う。踊り？　それは見れば分かるし、（内またステップや指先まで細かくセクシーに映える振り付けの）フォッシースタイルをしっかりキープしたい、とか、それは私たちのエゴでもあるから…すべてを理解しようと思うなら１０回、最低でも３回は見に来てくれないと…いつかはブロードウェーの舞台にもロキシーで立ちたい。英語を勉強してオファーを待ってます」

　ロキシーのまなざしで米倉はこう言って笑った。

　◆ＣＨＩＣＡＧＯ　ＮＹのブロードウェーで１９７５年に初演。９６年スタートの再演が１０年以上のロングラン。殺人容疑で投獄された歌姫ヴェルマは、弁護士ビリーのマスコミ操作によってスターになるが、殺人罪で投獄されたロキシーもビリーの力で人気に。注目を取り戻そうと、ヴェルマはロキシーとの結託を提案。だが、ロキシーは自らの妊娠をでっち上げて話題を独占。ついにビリーも解雇してしまう。０２年の映画版はアカデミー賞作品賞などを受賞。

　◆米倉　涼子（よねくら・りょうこ）１９７５年８月１日、神奈川県生まれ。３４歳。９２年「第６回国民的美少女コンテスト」審査員特別賞受賞。モデルとして活躍、００年にドラマ「恋の神様」でデビュー。０４年に悪女役を務めたテレ朝系「黒革の手帖」が話題に。０６年には同作舞台版で主演。０８年テレ朝系「交渉人」がヒットし、０９年に第２弾、１０年に劇場版が公開。身長１６８センチ。血液型Ｂ。