楽天−中日 楽天打線を6イニング3安打無失点に抑えたチェン=Kスタ宮城で(小嶋明彦撮影)
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◆中日7−2楽天
チェンが「無敵」の状態を取り戻した。最速153キロをマークした剛球は谷繁のミットを激しくたたき、相手打者のバットをへし折った。6イニングを被安打3。堂々の無失点ピッチングで4勝目を手に入れた。「真っすぐは今シーズンで一番よかった」。チェンは笑顔で自画自賛した。
ピンチで「一番」の直球が投げられた。この試合前まで「走者あり」での被打率は2割8分。「なし」の2割1分3厘を大きく上回っていた。セットポジションになると球速が落ちるのが課題だったが、そんな弱点をきれいに解消した。
直球の最速はセットポジションでも最速150キロに達した。球速は無走者のときとほとんど変わらず、得点圏に3度走者を背負っても力勝負で乗り切った。「セットでもテンポよく投げられたのがよかった」と手応えが十分に残った。
励みになる出来事もあった。登板前日の9日、同じ台湾出身で来日1年目の黄志龍(巨人)が上々のデビューを飾った。チェンより3歳年下の投手。オフにチェンが帰国した際には、日本の野球についていろいろと相談に乗った間柄だ。
チェンは「アイツは身長が低い(177センチ)。だからアメリカだとちょっときついかもしれない。日本だと技術でカバーできる。日本は先輩後輩の上下関係が厳しいという話もしました」
黄は初登板のプレッシャーの中で2失点とまずまずの好投。「向こうを意識しすぎると駄目になりますから」とチェンは笑うが、日本で実績のある先輩として負けるわけにはいかないだろう。
3連敗中の悪いムードを一掃する快投劇。「こういうピッチングを続けていきたい」とチェン。本来の剛速球がよみがえった左腕エースが、白星量産へ走り出す。 (木村尚公)
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