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【ドラニュース】


4番、和田で強竜打線復活

2010年6月11日 紙面から

楽天−中日 1回表1死満塁、野本の適時打で生還し、森野に迎えられる和田=Kスタ宮城で(小嶋明彦撮影)

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 借金転落の危機に、動いた。中日・落合博満監督(56)は10日の楽天戦(Kスタ宮城)でトニ・ブランコ内野手(29)を来日2年目で初めて4番から外した。

 代わって中心に座った和田一浩外野手(37)が初回に先制打を放つなど打線が14安打7得点と機能。連敗を3で止めた。井端弘和内野手(35)の離脱は不安だが、交流戦残り3試合、チーム一丸で上昇の機運をつかめ。

 オレ流の改革に聖域などなかった。不振のブランコをついに4番から外した。新4番は和田に任せた。ブランコは来日初の5番降格。落合監督の思い切った決断に、選手たちが即応えた。

 1回1死一、三塁、左翼線に先制適時二塁打を放ったのが新4番だった。「先制のチャンスだったので、打つことができてよかったです」と和田本人もホッとする1本。一気に打線は活気づき、大量7得点で快勝だ。

 今後の4番について、落合監督は「状態を見ながらな」と、語った。ブランコの復調を待ちながら、和田でいけるのならそれでもよし。いずれにしても采配(さいはい)はズバリ的中だ。

 西武から移籍してきた08年から和田は竜の不動の5番だった。08年に15試合で4番を打ったが、それ以外はほとんどが5番。昨季は1試合だけ3番を打ち、今季は全試合が“定位置”だった。

 4番指名について本人は「関係ないです。気にしてません」と、素っ気ない。ただ、ここで新4番も不発なら痛い失速。負ければ今季初の4連敗、3月31日以来の借金生活という危機を脱した。原動力が3安打1打点3得点の和田だった。

 落合監督にとって「4番」は特別だ。その厳しさは誰よりも熟知している。昨年の春先、こう語った。「4番に森野や和田を置いてみろ。集中砲火を浴びるぞ。それに耐えられるか?」。4番とは、グラウンド内外で攻撃の矛先が向けられる。どんな結果であろうと矢面に立つ。昨年の森野、和田には「4番」の看板は重すぎる。指揮官にはそう映っていた。

 だからブランコが適任だった。「言葉が分からないことが都合がいいこともあるんだ」。批判されても通じない。もちろん打撃の力量があってこそ。だが、言葉という“適性”もあっての打順固定だった。

 それから約1年。3番・森野、5番・和田は2人だけで“別次元”の首位打者争いをするまでになった。一方、ブランコはここ10試合、打率は1割にも満たない7分8厘と落ち込んでいた。6番だった井端の離脱という事情も重なった。

 指揮官の決断は打線に火を付けた。新4番は結果で応えた。打率は3割7分3厘まで上昇し、ついに森野をとらえた。4月19日以来となるセ・リーグ打率トップ。「トップ? まあ、まあ、まあ。まだ60試合ですから。これが140試合なら考えるかもしれませんけど」。和田はどこまでもひた向き。3&4番がし烈な争いを続ける限り、打線の火は消えない。 

  (生駒泰大)

 

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