2010-06-11

疫学調査

テーマ:ブログ

 ワクチン接種地域以外(日向市・西都市・宮崎市・都城市)に疑似患畜が同時多発した。信じられない。ワクチンが万能では無いとは言え、とにかく、児湯地区からウィルスを一歩も出さないという強い共通認識の下、ワクチン接種に同意・協力を頂き、多大なる犠牲を強いて頂いた農家さんや地元自治体始め、現場で必死で防疫措置に取り組んで頂いている関係各位の方々に本当に申し訳無い思いである。

 一体何が原因なのか? 何が問題だったのか?

 我々は、これまで、法に照らし合わせ、現実の中で出来うる全ての対策を講じ、万全の体制で防疫措置にあたって来た。今もそうだし、これからもそうである。


 農家さん同士のネットワーク、付き合い関係、飼料・資材の流通経路、郵便・宅配、学校、介護ヘルパー、発生地では無いところでの人と人との接触感染・・・・・・・・それらを全て詳細に洗い出すのは不可能に近いであろう。

 感染源・感染経路が小動物・虫・空気・野生動物等の可能性も否定出来ない。もし仮にそうであれば、我々は正直お手上げだ。

 完璧な防疫措置というのは、県内外の一切の人・モノ・車等の動きを完全にストップさせ、つまり地域住民全体の通常生活・機能を一定期間完全停止させ、地域の虫や小動物、鳥類、野生動物等を全て駆除し、畜舎や農家を完全密閉し、疑似患畜・患畜・ワクチン接種対象家畜全てを一瞬で殺処分し埋却することだろう。或いは、ウィルスそのものを一瞬にして完璧に撲滅出来る薬(ワクチン)を発明・開発することだろう。しかし、どれも現実的には不可能である。


 今、自分なりに様々な観点からの疫学調査をしている。

 例えば都農町。第1例目(4月20日確認・牛16頭)。この頃は法律に決められた防疫指針通り、検体を動衛研(東京)に送り、クロと判明してから殺処分・埋却を実施した。都農の第1例目は、それでも、確認されてから0日で殺処分が終了。非常に迅速な対応である。えびのと同じである。

 都農町で発生する第2例目は4月23日(水牛・豚44頭)である。この時も確認されてから2日で殺処分が終わっている。都農町内の第1例目と第2例目の位置関係や付き合い関係等、因果関係は興味あるところだが、当然、周辺の移動制限や消毒等は万全だった。ただ、第1例目が確認される前の潜伏期間の認識は恐らく無かったと推察する。

 

 勿論、都農町内のそもそもの家畜の数、また、南には川南町が隣接しているので都農町だけに関係することではないが、都農に第3例目が発生するのは、第2例目から約2週間後の5月8日である。これをどう見るか? ここが一つのポイントのような気がする。この間、隣の川南町では爆発的に増えている。

 都農町の第3例目は全体では48例目の農家(牛・207頭)である。この時も3日で殺処分が完了している。周辺の防疫体制は万全であったにも関わらず、何故、2週間後に都農町で発生したのか?

 

 因みに、最初に、国の検体結果を待たずに写真・目視判定で殺処分に踏み切ったのは、第10例目の川南町・畜産試験場の豚486頭である。この時は即日殺処分が完了している。

 その後の写真・目視判定での殺処分は、農家さんの同意が得られなかったりして、一部に限定されている。写真・目視判定での殺処分が状態化・定着するのは、ワクチン接種後である。

 

 そして、都農町内の第4例目は、5月14日(牛・12頭)である。この時も2日で殺処分が終了している。発生農家の位置関係、潜伏期間への意識、農家同士の付き合い、出入り業者等の関係からも、その経路や感染源について多くの示唆がある。

 都農町の第5例目は5月19日(牛・40頭)、第6例目は同じく5月19日(牛・135頭)、いずれも2日で殺処分は終了している。

 その後、5月20日2例出た。ワクチン接種は22日から始まった。

 その後、24日以降、6月上旬までに20例以上の農家で堰を切ったように立て続けに疑似患畜が確認されている。

 これらの事実からも、多くのContextが見えて来る。


 昨日までの新たな疑似患畜確認は5,594頭。昨日の殺処分5,963頭。殺処分対象275,692頭。殺処分完了164,595頭。未殺処分111,097頭。

 


 それでも、まだ、農家に出入りし、行き来する人や車がいて、それらの消毒等の防疫措置が万全で無かったのか? 
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