ヤワラちゃんの背負い投げじゃ何も解決しない

相次ぐ著名人候補の擁立も、解決にならないと語った安住議員

　今の状況は“消しゴム政局”―。民主党の安住淳衆院議員（４８）は、同党と鳩山内閣が立たされている苦境をこう表現した。事業仕分け第２弾や、ヤワラちゃんの出馬表明といった前向きな話題も、米軍普天間飛行場移設問題や「政治とカネ」の問題が打ち消してしまう「負のスパイラル」。鳩山由紀夫首相の人の良さが「すべて裏目」に出ているなか、局面を打開できなければ、恐怖の「支持率１０％台突入」もありうると警鐘を鳴らす。

　―鳩山首相が沖縄に行った。

　「水面下で交渉し、おぜん立てされた上で総理が行くという従来の形を覆すやり方だった。みっともないと感じた人もいるだろうが、鳩山首相らしいやり方という気もした。罵声（ばせい）を浴びせられ、つらい思いをしても、また行くと言うファイトは買ってもいいのではないか」

　―しかし結局県内だ。

　「１月の名護市長選の前に、沖縄にやはりご負担をお願いしないといけないという結論に達して謝っていれば、状況はかなり違っていたと思う」

　―そもそもなぜ首相は「最低でも県外」などと言ったのか？

　「選挙戦で地元に行った時の発言だった。優しい人だから、きれいな海を見ると守りたいと思う。感情が高揚して、素で言っちゃったんだろうな…」

　◆首相の「ホンネ」が裏目ばかりで辛い

　―学べば学ぶにつけ…の発言。あれはナシでは。

　「観念的なことは総理だって知っていたはず。しかし政権をとって初めて分かる現実もある。歴代総理みんなそうだが、鳩山さんはそれを本音で言っちゃった。そこが評価されていた時期もあったのに、今、すべて裏目に出ているのがつらいよ…」

　―５月末に決着するか。

　「米国と合意、沖縄と合意、さらに連立間の合意まで３週間で行き着くのはなかなか難しい。ただ、方向性はうっすら見えてきた。安全保障委員長としてあえて言わせてもらうと、やはり日米合意は非常に大事。日米間の実務者協議を重ね、基本的な合意まで５月中に行き着いてほしい。次の国内対策は本当に時間をかけてもいいと思う」

　―世論調査では内閣支持率が下落し続けている。

　「国民が政治とカネの問題で納得していないことは、世論調査を見ればすぐわかる。負のスパイラルだ。このままだと本当に１０％台までいきかねない。枝野大臣や蓮舫氏らが事業仕分けで頑張り、ヤワラちゃんもこの状況で出馬してくれた。涙が出るほどありがたく、久々の明るいニュース。ところがそれもかき消される『消しゴム政局』だ。党のトップ２が消しゴムになっちゃってる。ヤワラちゃんには申し訳ない…」

　―小沢幹事長はこの状況をどう考えているか。

　「報道各社の世論調査に対して、記者会見で強気の姿勢を貫いているが、そうした姿勢が逆に反発を買っている可能性がある。選挙に出る同僚参院議員の立場に立ち、このままでいいのか自ら考えた方がいい。小沢さんの問題は選挙に影響があるのは、否定し得ない事実なんだから」

　―鳩山首相は？

　「支持率をここまで下げ、国民から冷ややかな目で見られたまま、終われないよ。普天間で必死にがんばるしかない。ヤワラちゃんの背負い投げで、普天間や政治とカネの問題が一気に解決されるわけではないんだから」

　◆金本を見習えっ！！
  〇…虎党の安住氏は、１４９２試合フルイニング出場の記録を自ら絶ち、チームに身をささげた金本知憲外野手に感服した。「偉いよね。金本の勇気ある大英断が阪神の躍進につながっている。次の阪神の監督は金本で決まりだ。２０年ぐらいやってほしい」。さらに“リーダー論”にも言及。「自らを犠牲にしてチームを浮上させる。各界のリーダーは金本を見習わないと。人の上に立つ人はすべからく…それ以上、何も言うことはないっ」と、意味ありげに締めくくった。

　◆安住　淳（あずみ・じゅん）１９６２年１月１７日、宮城・石巻市（旧牡鹿町）生まれ。４７歳。早大社会科学部卒業後、ＮＨＫに入社。東京報道局政治部記者として、総理官邸や自民党を担当。退社後の９３年、新党さきがけなどの推薦で衆院選に初出馬するも落選。９６年、民主党の公認で初当選し、現在５期目。前原誠司代表のもとでは党選対委員長を務め、昨年５月の代表選では岡田克也氏を推した。ほかにも副幹事長、国対委員長代理などを歴任。「ＴＶタックル」などテレビ番組でもおなじみの論客。家族は妻、長女、長男。好きな歌手はＥＸＩＬＥと前川清。血液型Ａ。