菅直人首相が所信表明、財政再建へ与野党協議を提唱

衆院本会議で、就任後初の所信表明演説をする菅首相

　菅直人首相は１１日、衆参両院の本会議で就任後初の所信表明演説を行った。財政再建のため「税制の抜本改革着手は不可避」として、与野党による消費税率引き上げ協議を視野に「財政健全化検討会議」設置を提唱。新たな年金制度の基本原則を示し、党派を超えた議論開始も呼び掛けた。鳩山前政権の「政治とカネ」などをめぐる混乱を陳謝し「挫折を乗り越え信頼回復する」と訴えた。

　財政をめぐる超党派会議について首相は、年内スタートを念頭に早ければ１４、１５両日の各党代表質問に対する答弁で具体的に提起する意向だ。

　演説で対外政策に関し「現実主義を基にした外交」として日米同盟を着実に深化させる考えを表明。沖縄県の米軍普天間飛行場移設は、同県名護市辺野古に代替施設を造るとの日米合意を踏まえ解決を図り、沖縄の基地負担軽減に積極的に取り組む姿勢を強調した。

　「真の国民主権の実現」を基本理念に位置付け内閣の政策課題として〈１〉経済・財政・社会保障の一体的立て直し〈２〉戦後行政の大掃除の本格実施〈３〉責任感に立脚した外交・安保政策―を列挙。社会のさまざまな課題解決を新たな需要と雇用創出につなげる「第三の道」を選択し「強い経済・強い財政・強い社会保障」を一体的に実現させる方針を明確にした。

　財政の危機的状況を改善するため、今後３年間の歳出の大枠を示す「中期財政フレーム」や、財政健全化への道筋を明らかにする「財政運営戦略」を今月中に策定すると明言。環境、健康、アジアなど六つを柱とする「新成長戦略」も今月中にまとめ２０２０年までの平均で名目３％、実質２％の経済成長を目指す決意を表明した。

　税金や社会保障の個人情報を一元管理するための「共通番号」制度導入と子育て支援充実、弱者の「孤立化」解消の必要性も指摘。事業仕分けや国家公務員制度改革を推進するとともに「行政の密室性打破」のため情報公開法改正を検討する意向を示した。

　引き続き「東アジア共同体」構築を目指す考えも説明。対北朝鮮政策では韓国海軍哨戒艦沈没で、韓国を全面支持するとともに拉致、核、ミサイル問題の解決と「不幸な過去」の清算により「国交正常化を追求する」と訴えた。

　郵政改革法案は、国民新党との合意に基づき早期に成立させる考えを強調した。

（2010年6月11日17時57分スポーツ報知）

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