2010年06月04日
日経エコロジーリポート
植物工場 環境にはいいのか?
ウソ ホント!? 環境の科学
植物工場はエコか?
とはいえ、植物工場は照明などに電力を使うことで二酸化炭素を確実に排出する。この点だけを見て露地栽培と比較すれば、どれほど省エネを進めても植物工場は環境負荷が大きいといわざるを得ない。
だが、高辻理事は「環境負荷という面では、エコとはいえないかもしれない」と認めつつ、「メリットとデメリットの総体を評価し、ほかの産業とのバランスを総合的に考えれば、植物工場は現在のエコロジーの流れを乱すものではないと判断できる」と言う。
植物工場の環境面でのプラス要因は、無農薬が可能で土壌汚染のリスクがない、廃棄物の管理が容易、地産地消で輸送エネルギーを低減できる、蒸散する水を回収できるために水資源への負荷が小さい──などが挙げられよう。将来的には有機廃棄物をバイオマス発電に利用したり太陽光発電を組み込んだりすることで、一層の負荷低減の余地がある。
今後、温暖化による気候変動などで農業生産に危機が発生した場合には、植物工場とその関連技術が食糧供給の一助になるかもしれない。農業の就労人口の減少や高齢化、休耕および耕作放棄地の増加といった問題を抱える我が国の農業にとってカンフル剤となる期待もある。
植物工場の環境影響に関しては、まだ技術発展の途上でありデータが十分に整理されていないため、未解明の部分が多い。ただ、現時点の環境負荷だけでは判断できない可能性と必要性が、植物工場とその関連技術にはある、と言えるだろう。
A 現時点ではエネルギー消費が膨大。だが、環境的にプラスの側面もある
上記の記事「植物工場 環境にはいいのか?」は、『日経エコロジー』2010年6月号に掲載された記事です。なお、記事中に記載した内容については、『日経エコロジー』2010年6月号掲載時の内容となっております。
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