きょうのコラム「時鐘」 2010年6月11日

 新内閣の支持率61%は、ご祝儀相場としては高くはない。前がひどすぎたから、V字回復に見える

微妙な数字である。テストで61点をとった。ガリ勉は激しく落胆するが、一夜漬け組なら笑顔のVサイン。良くも悪くもとれる。もっとも、政治に満点はない。支持率100%と言わせるのは独裁者である。数字が上がりすぎるのも怖い

熱するのでも冷めるのでもない。61%という数字は、政治に対するほどほどの期待であろう。大風呂敷に包んだごちそうはいらない。「肴(さかな)はあぶったイカでいい」という歌もある。ぬるいかん酒をやりながら、お父さんたちが愛唱する演歌の一節である

酒が進む名曲だが、当地ではあまり調子に乗って歌わない方がいい。北陸のあぶったイカは、心躍る美味である。「イカでいい」などと粗末な口をたたくと、「あんた、モノを知らんね」と笑われる。あれは、コンクリートの街の住人の発想である

ほどほどの期待を寄せるにしても、イカの美味を知らないコンクリ頭の政治家からは目を離せない。こんなご時世、「新幹線は後でいい」などと、音程を外して歌い出しかねない。