新緑が目にまぶしくなって、今年もゴールデンウイークの季節が巡ってきた。土曜が休日なら5月1日から5日まで5連休、30日も休めるならば、きょう「昭和の日」から丸々1週間の休暇となる▼その30日を三重県亀山市は、市独自の「家族の時間づくりの日」に指定した。観光庁が提唱する地域ごとに休日を分散させる休暇促進実験に名乗りを上げ、市内20幼稚園・小中学校の子どもたちが一斉に7連休に入る▼学校だけが休んでも仕方がない。家族そろって行楽などを楽しむには、同時に両親らにも休みを取得してもらうのが肝要。市が呼びかけて市内の大手企業の半数近くがこの日を休業日にするそうだ▼長引く不況から脱しきれず、やむなく生産調整に充てるような長期休暇ならありがたくないが、これなら歓迎したい。休暇分散化の実証実験には京都市も参加予定で、10月に一部の学校で4〜5日の連休取得を試みる▼1年前、高速道路の休日割引「千円乗り放題」で、連休中の各地で大渋滞が起きたのは記憶に新しい。一部の観光地が潤ったのは確かだが、大渋滞に巻き込まれた苦い経験を思い出す人は多いはず▼休暇分散化は、観光庁が旗振り役だけに観光の需要喚起の色合いが濃い。とはいえ、観光地の混雑緩和や割高料金解消など利点も見込め、「連休=渋滞」の悪印象が少しは薄まるかもしれない。亀山市などの取り組みに注目したい。
[京都新聞 2010年04月29日掲載] |