フランスから、ノワールさん親子が京都へ久しぶりに「里帰り」をした。友人が集い、食事をしつつフランスと日本の両国の魅力や考え方の違いなどについて歓談した▼息子のミキオさん(28)は高校の途中まで京都市内で暮らした。今はプロバンスのカマルグ地方で乗馬の観光ガイドをしている。湿地帯を散策してフラミンゴなどが見られる名所。休暇をゆったりと過ごす家族連れが多いそうだ▼元短大助教授で母親のマリルネさん(67)は「フランス人は次の休みに何をしようかと、いつも頭の中で考えています。人生は短いです。仕事だけでなくいっぱいいろんなことをしたい。仕事と休みをバランス良く」と人生観を語る▼日本人は熱心に働き、戦後の経済成長をなし遂げた。その一方、長時間労働や過労死を招いてしまった。健康や家族とのだんらんなど休む大切さは徐々に浸透してきたが、有給休暇の取得はフランスに比べて、はるかに少ない▼政府は先ごろ、日本を5ブロックに分けて春と秋に土、日曜を含め5連休をずらして設ける案を打ち出した。「休暇取得の分散化」で観光による内需拡大や雇用を促すことになればとのねらいだ▼初の試みで産業面の影響を懸念する声もあるが、日本人の休みに対する考え方、ライフスタイルを変える転機になるかもしれない。気兼ねなく休める社会を実現するために、フランスの良い部分を学びたい。
[京都新聞 2010年03月25日掲載] |