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影の銀行システム
15日にワシントンで「金融サミット」が開かれる。IMFの機能を拡大することが最大の議題になりそうだが、Rogoff(IMF元理事)は「IMFのsuper-sizingは間違いだ」と論じている。その融資枠は2500億ドルしかなく、これはアメリカ1国よりはるかに小さい。IMFのスタッフもその規模に見合ったものしかなく、融資枠だけを拡大することは、今でも(欧州の議決権が大きすぎるなど)問題のあるIMFのガバナンスをさらに歪めるおそれが強いという。
フランスを先頭に「規制強化」の声が強いが、実際にできることは限られている。今回の騒動で批判を浴びた格付け会社を規制することは容易に合意がえられようが、ヘッジファンドや金融商品を規制するのは無理だ。規制を強めた国から資金が流出するだけで、かえって経済は悪化する。投資銀行やファンドの資金運用の大部分は、実際にはオフショアで行なわれているからだ。
たとえば、ある外資系投資銀行のSPVは、かつてはオランダなどに置かれていたが、税務署の命令で日本に置くことになった。その出資者も51%以上は日本法人でないとだめなので、形の上では日本国籍の企業が最大株主である。しかしこれはペーパーカンパニーで、その資金はすべてケイマンにあるこの投資銀行のSPVから融資されている。日本で上げた利益はケイマンへの支払利息と相殺されて、実際にはほとんど税金は払っていない。
もちろんケイマンの法人もペーパーカンパニーで、すべての運用はウォール街で行なわれている。こうした取引はほとんどオフバランスなので、課税対象にもならない。つまり派生証券の主要な機能は、法人の利益を複雑なネットワークを介してファンドの金利に変え、法人税を逃れることなのだ。Gortonは、こうしたオフバランスの金融システムを「影の銀行システム」と呼んでいる。
今回の金融危機の原因は、この影の銀行システムで取り付けが起こったことだ。オフバランスの取引は、通常は差額だけを決済すればいいが、今のように資産を清算するとなると巨額の資金が必要になる。特に多くの金融商品を組み合わせたCDOやSIVは、中身がわからないために値付けを格付け会社に頼っていたが、格付けが当てにならないことが判明して市場で拒否され、値がつかなくなった。
だから問題の本質は、決済ネットワークが崩壊したことによる短期的なilliquidityであって、資金の不足によるinsolvencyではない。資金は新興国に余っているので、必要なのは「最後の貸し手」を肥大化させることではなく、まずこのもつれた糸をほぐして資金が流れるように市場を建て直すことだ。そのためには、すでに議論が始まっているように金融商品を標準化して決済を取引所に集約し、市場で値付けを行なうインフラが必要だろう。
こうした改革には、法的な規制は不可欠ではない。これまでSIVが多用されていた最大の理由は(実際には)顧客が逃げられないようにするためだから、そのロックイン効果より流動性の低下によるリスクのほうがはるかに大きいことがわかった以上、投資銀行は自発的にloose couplingにするだろう。投資の世界の鉄則は、ウォーレン・バフェットのいう"skin in the game"だから、仲介者にもリスクを負わせることがもっとも確実なガバナンスである。
フランスを先頭に「規制強化」の声が強いが、実際にできることは限られている。今回の騒動で批判を浴びた格付け会社を規制することは容易に合意がえられようが、ヘッジファンドや金融商品を規制するのは無理だ。規制を強めた国から資金が流出するだけで、かえって経済は悪化する。投資銀行やファンドの資金運用の大部分は、実際にはオフショアで行なわれているからだ。
たとえば、ある外資系投資銀行のSPVは、かつてはオランダなどに置かれていたが、税務署の命令で日本に置くことになった。その出資者も51%以上は日本法人でないとだめなので、形の上では日本国籍の企業が最大株主である。しかしこれはペーパーカンパニーで、その資金はすべてケイマンにあるこの投資銀行のSPVから融資されている。日本で上げた利益はケイマンへの支払利息と相殺されて、実際にはほとんど税金は払っていない。
もちろんケイマンの法人もペーパーカンパニーで、すべての運用はウォール街で行なわれている。こうした取引はほとんどオフバランスなので、課税対象にもならない。つまり派生証券の主要な機能は、法人の利益を複雑なネットワークを介してファンドの金利に変え、法人税を逃れることなのだ。Gortonは、こうしたオフバランスの金融システムを「影の銀行システム」と呼んでいる。
今回の金融危機の原因は、この影の銀行システムで取り付けが起こったことだ。オフバランスの取引は、通常は差額だけを決済すればいいが、今のように資産を清算するとなると巨額の資金が必要になる。特に多くの金融商品を組み合わせたCDOやSIVは、中身がわからないために値付けを格付け会社に頼っていたが、格付けが当てにならないことが判明して市場で拒否され、値がつかなくなった。
だから問題の本質は、決済ネットワークが崩壊したことによる短期的なilliquidityであって、資金の不足によるinsolvencyではない。資金は新興国に余っているので、必要なのは「最後の貸し手」を肥大化させることではなく、まずこのもつれた糸をほぐして資金が流れるように市場を建て直すことだ。そのためには、すでに議論が始まっているように金融商品を標準化して決済を取引所に集約し、市場で値付けを行なうインフラが必要だろう。
こうした改革には、法的な規制は不可欠ではない。これまでSIVが多用されていた最大の理由は(実際には)顧客が逃げられないようにするためだから、そのロックイン効果より流動性の低下によるリスクのほうがはるかに大きいことがわかった以上、投資銀行は自発的にloose couplingにするだろう。投資の世界の鉄則は、ウォーレン・バフェットのいう"skin in the game"だから、仲介者にもリスクを負わせることがもっとも確実なガバナンスである。
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デリバティブや「影の銀行システム」の問題は「外から見えない」ことで価値が不安定になることであると思います。
例えばCDOは、当時者間では中身が見えていても、外部からは見えないので、あるファンドが腐ったCDOに投資していたことがわかると、他のファンドへ投資している人たちも不安になって逃げてしまいます。
企業がデリバティブに投資している場合でも、バランスシートに載っていないものが、突然損失につながったりするので、企業のリスクがわからなくなって怖くなります。
個別案件の問題に加えて、全体でどのくらいリスクがあるのかを把握して、その結果を金融政策等に組み込む必要もあると思います。
取引所の機能は、標準化に加えて、情報開示の機能としても、システムの安定に寄与すると思います。
これも規制強化ですかね?
※ブログ管理者のみ、編集画面で設定の変更が可能です。
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