<オランダ>自民と自由党が勢力拡大 イスラム移民に警戒感
6月10日20時19分配信 毎日新聞
【ハーグ(オランダ西部)福島良典】9日投開票のオランダ下院(定数150)総選挙は、中道右派・自由民主党が31議席で中道左派・労働党との首位争いを1議席差で逃げ切った。「オランダのイスラム化阻止」を掲げる極右・自由党は、現有9議席を24議席とし第3党に躍進した。改選前に41議席で第1党だったキリスト教民主勢力は21議席と惨敗。党首のバルケネンデ首相は辞意を表明した。ユーロ危機を受けて財政再建が最大の争点となったが、移民規制強化を求める自民、自由両党の勢力拡大は同時に、オランダ社会の右傾化を顕著に示す結果となった。
「オランダ人は犯罪、移民、イスラムの少ない国を選んだ。我々は政権に加わる用意がある」。ウィルダース自由党党首は9日深夜、ハーグ郊外での集会で宣言した。昨年の欧州議会選挙、今年3月の地方選に続く勝利。06年の結党から4年強で政権参加への足がかりをつかんだ。
勢力拡大の背景には移民の増加がある。オランダ南西部ロッテルダム(約60万人)では16年に住民の半分を外国系が占めるようになると予測されている。地方政党「住みよいロッテルダム」のソレンセン党首は「オランダは移民の受け入れに年間70億ユーロ(約7700億円)も費やしている。流入を阻止すべきだ」と主張する。
一方、ハーグ中心部にあるモスク(イスラム礼拝堂)の責任者、アリ・ベルハジさん(61)は「ウィルダース党首は反イスラム、反イスラム教徒、反アラブだ。イスラム諸国では受け入れられず、各党は自由党と連立を組むことはできないはずだ」と語る。
だが、自民党のルッテ党首はイスラム移民を名指しこそしないが、「社会保障に全面依存するような、経済的に恵まれない移民の流入は止める」と表明。規制強化の方向は自由党と一致しており、選挙戦中から自由党と連立を組む可能性を排除していない。自民党、自由党、キリスト教民主勢力の3党で過半数ぎりぎりの76議席となるため、3党による中道・右派連立の可能性も浮上している。
ただ、自由党の公約は、モスクの新設禁止、イスラム教の聖典コーランの発禁、ヘジャブ(イスラムのスカーフ)着用への課税などで、反イスラム色が濃い。ウィルダース党首は連立に参加する場合には移民問題で柔軟に対応する構えを見せているが、自由党が政権入りすればイスラム世界の反発は必至だ。
欧州ではベルギーで今年4月、イスラム教徒の女性が顔を覆う衣装ブルカやニカブを公共の場で着用することを禁じる法案が下院で可決された。フランスなどでも着用禁止を目指す動きがある。金融・経済危機で欧州は「内向き傾向」を強めており、オランダ総選挙の結果を踏まえ、「欧州とイスラムの共存は可能か」を巡る議論が各国で熱を帯びそうだ。
【関連ニュース】
オランダ:極右・自由党が大躍進 下院総選挙
インドネシア:スカーフ品定めに真剣
パキスタン:東部ラホールの病院で銃撃戦 患者ら6人死亡
パキスタン:東部ラホールで自爆などテロ 80人が死亡
南アW杯:「デンマークとオランダ選手が標的」テロ容疑者
「オランダ人は犯罪、移民、イスラムの少ない国を選んだ。我々は政権に加わる用意がある」。ウィルダース自由党党首は9日深夜、ハーグ郊外での集会で宣言した。昨年の欧州議会選挙、今年3月の地方選に続く勝利。06年の結党から4年強で政権参加への足がかりをつかんだ。
勢力拡大の背景には移民の増加がある。オランダ南西部ロッテルダム(約60万人)では16年に住民の半分を外国系が占めるようになると予測されている。地方政党「住みよいロッテルダム」のソレンセン党首は「オランダは移民の受け入れに年間70億ユーロ(約7700億円)も費やしている。流入を阻止すべきだ」と主張する。
一方、ハーグ中心部にあるモスク(イスラム礼拝堂)の責任者、アリ・ベルハジさん(61)は「ウィルダース党首は反イスラム、反イスラム教徒、反アラブだ。イスラム諸国では受け入れられず、各党は自由党と連立を組むことはできないはずだ」と語る。
だが、自民党のルッテ党首はイスラム移民を名指しこそしないが、「社会保障に全面依存するような、経済的に恵まれない移民の流入は止める」と表明。規制強化の方向は自由党と一致しており、選挙戦中から自由党と連立を組む可能性を排除していない。自民党、自由党、キリスト教民主勢力の3党で過半数ぎりぎりの76議席となるため、3党による中道・右派連立の可能性も浮上している。
ただ、自由党の公約は、モスクの新設禁止、イスラム教の聖典コーランの発禁、ヘジャブ(イスラムのスカーフ)着用への課税などで、反イスラム色が濃い。ウィルダース党首は連立に参加する場合には移民問題で柔軟に対応する構えを見せているが、自由党が政権入りすればイスラム世界の反発は必至だ。
欧州ではベルギーで今年4月、イスラム教徒の女性が顔を覆う衣装ブルカやニカブを公共の場で着用することを禁じる法案が下院で可決された。フランスなどでも着用禁止を目指す動きがある。金融・経済危機で欧州は「内向き傾向」を強めており、オランダ総選挙の結果を踏まえ、「欧州とイスラムの共存は可能か」を巡る議論が各国で熱を帯びそうだ。
【関連ニュース】
オランダ:極右・自由党が大躍進 下院総選挙
インドネシア:スカーフ品定めに真剣
パキスタン:東部ラホールの病院で銃撃戦 患者ら6人死亡
パキスタン:東部ラホールで自爆などテロ 80人が死亡
南アW杯:「デンマークとオランダ選手が標的」テロ容疑者
最終更新:6月10日23時16分
Yahoo!ニュース関連記事
- <オランダ>自民と自由党が勢力拡大 イスラム移民に警戒感(毎日新聞) 6月10日20時19分
- オランダ下院総選挙、緊縮財政掲げる自民党が僅差リード(ロイター) 6月10日14時36分
- オランダ下院総選挙、極右が躍進 現首相は党首を辞任(CNN.co.jp) 6月10日13時42分
- <オランダ>極右・自由党が大躍進 下院総選挙(毎日新聞) 6月10日10時57分
- オランダ総選挙、8年ぶり政権交代か(産経新聞) 6月10日 7時56分
関連トピックス
主なニュースサイトで イスラム社会 の記事を読む
この記事を読んでいる人はこんな記事も読んでいます
- <参院選>安倍元首相らが民主の単独過半数阻止で連携(毎日新聞) 10日(木)18時44分
- 首相、発信抑制を検討=「失点」減らす狙い(時事通信) 8日(火)22時15分
- 「参院選に政治生命」=自民・谷垣氏、敗北なら辞任示唆(時事通信) 10日(木)11時6分