鳩山由紀夫首相は23日、米軍普天間飛行場を全面返還しない可能性を記者団から問われ「すべてをゼロベースで考えている」と言明、普天間飛行場を存続させる可能性を示唆した。鹿児島県徳之島などへの分散移転による解決策を念頭に置いていると思われる。
市街地の中心部に位置する普天間飛行場を残したのでは、危険性はいつまでも残る。返還自体を白紙に戻すなら、これまでの議論は一体何だったのか。後退も甚だしい。県民を愚弄(ぐろう)するのはいいかげんにしてほしい。
政府内で浮上した案のうち、シュワブ陸上案に対しては、名護市議会が3月8日、反対の意見書と抗議決議を全会一致で可決した。勝連沖案に対しては19日、うるま市議会が反対する意見書を全会一致で可決している。地元が受け入れる可能性は皆無だ。だからといって「普天間」を存続させるというのは最悪の選択だろう。
国土のわずか0・6%にすぎない沖縄に、全国の米軍専用施設面積の4分の3が集中している現状は誰が見ても異常だ。長年基地被害を押し付けられてきた多くの県民にとって、普天間飛行場の県内たらい回しは到底容認できない。
最も現実味がある解決策はグアムへの移設だろう。米国の基地を米領に移す。これ以上自然な成り行きがほかにあろうか。
鳩山首相は昨年8月、衆院選に向けた主要6政党の党首討論会で、普天間飛行場について「最低でも県外移設が期待される」と言明した。民主党のマニフェスト(政権公約)は「米軍再編や在日米軍基地のあり方についても見直しの方向で臨む」と明記している。
そこまで期待を持たせた揚げ句、「県内移設」や「普天間存続」という結論を出すのなら、それこそ「選挙詐欺」と批判されても仕方あるまい。
普天間飛行場の移設問題は今まさに正念場だ。県民の代表である仲井真弘多知事は政府の出方を見て右顧左眄(うこさべん)するのではなく、多くの県民の意を体し「県内は断じて認められない」と政府に通告すべきだ。
沖縄の将来を左右する重要局面にあって、知事に求められるのは強いリーダーシップだ。政治家としての識見、力量が問われる。
鳩山首相は「最低でも県外」という公約をきちんと実行すべきだ。
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