金融は、あくまで経済の脇役であることが、本分。
しかしながら、
過去を振り返ってみても、
金融にせよ、コンサルティングにせよ、広告にせよ、
様々な事業運営者に対して、専門知識や、知恵を販売する、
いわゆる脇役が、主役に躍り出て、
事業会社がそれに振り回される、といった現象は枚挙に暇がない。
現実的に考えた時に、
学生時代、優秀と評された同期は、
給料の高い、上記職種に就いて行った。
提案力を持ち、自らはリスクを負わず、
知的付加価値により、金をもらう。
ローリスク・ハイリターンモデルであり、
且つ、中にいる社員も、様々なインダストリーの様々な会社を見ることができ、
知見も視野も広がっていく。
これらの業種は、真の意味で人、特にクライアント企業の担当者を説得できる
寝技、口技、を持っている人間こそ資本であり、
その資本となる人間を支える、取り換え可能な高給知的作業員(奴隷?)
により構成され、
その作業員階層は、アップ・オア・アウトの原理で、
常にリフレッシュされていく。
こうした提案型業種にとって、一番おいしい状況は、
クライアント企業担当者を、思考停止状態に持っていくことだ。
思考停止し、自分たちを定常的に使わざるを得ない状況にもっていけば、
何もせずとも、仕事が流れてくる。
昨今、War for Talent、という言葉が一般化して久しいが、
その中には、真に事業価値向上を担う人材も含まれており、
一概には言えないが、
大まかなところでは、結局、「クライアント垂らし込み」技術のある人間
の奪い合い、ということだ。
事業会社サイドとしては、
うまく、投資銀行やコンサルティング会社を「使いこなす」スキルが必要だ。
口八丁、手八丁にごまかされては行けない。
ピッチブックのパワーポイントの綺麗さにごまかされる人は
もう少ないとは思うが、
見かけの数字や、分析に基づく、彼らのロジックに乗るだけでなく、
実業について、彼らの数十倍も理解している自分の経験、思考で、
相手を詰め、最大限の価値を出させる能力が必要だ。
今後、日本企業が成長していく上で、
アジアエリアへのM&Aによる成長戦略は欠かせない。
そのための、戦略立案、実行には、
外部の専門家集団の活用は、時間短縮の意味でも、また現実的なオペレーション遂行を考えても不可避であろう。
ただ、提案事業者が太っても、
結局、実業が成長しなければ、経済は浮上しない。
ある種、提案事業者は、脇役であり、言い方は悪いが、「寄生虫」的側面があるからだ。
企業の経営企画や、事業企画、及びそれに類する部門で働く
相対的に幸せな会社員生活を送られていらっしゃる方々は、
是非、上記を心に留めておいていただきたい。
それができなければ、
今後、構造的に縮小を続ける日本経済の中において、
同期の中でも、相対的優位を保ってきた、
企画部門のあなたが、今度は、リストラの対象になりえる時代に突入していく可能性は高い。
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