2010年6月9日
米アップルが新型携帯電話「iPhone(アイフォーン)4」を24日、日米などで発売する。洗練されたデザインや多様な機能を武器にさらに販売拡大を目指す。アイフォーンのような多機能携帯電話(スマートフォン)は世界で販売が伸びており、その主役は米国のインターネット関連企業だ。日本企業は独自の強みを見つけられず、乗り遅れている。
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「初代を2007年に発売して以来、最大の飛躍になった」。アップルのスティーブ・ジョブズ最高経営責任者(CEO)は7日、サンフランシスコの開発者会議でiPhone4をこう紹介した。
目を引くのは画像の鮮明さだ。解像度は今の機種の4倍。人の目の網膜で認識できる細かさを超えているといい、写真や文字がなめらかに表示される。
カメラを表と裏にそれぞれつけたのも特徴だ。表のカメラで自分の顔を撮りながら、無線LANを使った無料のテレビ電話「フェースタイム」を楽しめる。基本ソフト(OS)も一新し、ゲームや電子メール、インターネット検索などいろいろな作業が同時にできるようになった。それなのに、機械の厚さは今の機種より3ミリ薄くした。
ネットにつなぎ、パソコンと同様の作業ができるスマートフォンの市場は急速に大きくなっている。米調査会社IDCによると、今年1〜3月期のスマートフォンの出荷台数は前年同期より57%増になった。携帯電話機全体に占める割合も19%に達した。中でも急速に伸びているメーカーがアップルだ。
ただ、ライバルも増えている。米マイクロソフトは5月に自社ブランドでスマートフォン「KIN」を発売した。グーグルもスマートフォン用のOS「アンドロイド」を開発し、台湾の携帯大手HTCなどが採用している。また、米検索大手ヤフーと携帯最大手のフィンランドのノキアは5月、携帯向けのネット事業を統合すると発表した。
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日本では携帯電話がNTTドコモなど通信会社主導で独特の発展を遂げ、それと深く結びついた国内メーカーが圧倒的なシェアを保ってきた。その独特さは「ガラパゴス」とも揶揄(やゆ)される。だが、最近はスマートフォンの登場で、アップルなど海外メーカーの存在感が増している。日本勢は開発で出遅れており、海外勢の攻勢に悩まされそうだ。
日本では「iモード」など通信会社ごとのネット接続サービスが一般的だが、スマートフォンはパソコン並みの機能が受け、普及しつつある。MM総研の調べでは、09年度にスマートフォンは前年度の2倍強の234万台が出荷され、iPhoneが7割強を占めた。10年度のスマートフォンの出荷台数は約3割増の300万台と予測する。
NTTドコモも巻き返しに躍起だ。4月に発売した英ソニー・エリクソン製の「エクスペリア」は人気が出て品薄の状態になった。今秋には、韓国のサムスン電子がiPhoneに対抗するため開発した「ギャラクシーS」を日本でも発売する。KDDIもスマートフォン2機種を発売し、本格参入する方針。海外勢の後を追う国内メーカーの動きも活発になりつつある。(山川一基=サンフランシスコ、橋田正城)
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