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沖縄県民を落胆させた菅総理の「無責任な発言」と「人事」 - 岡留安則

鳩山総理と小沢幹事長という民主党のツートップが電撃的なダブル辞任に追い込まれたことで、永田町に激震が走った。かねてよりこのツートップを狙い打ちにすることで鳩山民主党政権を潰すために揺さぶりをかけてきた霞ヶ関とマスメディアも拍子抜けするような呆気ない結末だった。

政権交代による霞ヶ関の革命的な改革をこころよく思っていなかった官僚を中心とした守旧派の連中は内々で祝杯を上げたはずだが、美酒というよりもいささかほろ苦い酒だったのではないか。参議院選挙対策のために小沢幹事長本人があっさりと身をひくという戦術じたいは予想されていた。小沢幹事長がいくら強気に強行突破を唱えても、支持率が20パーセントを切れば戦えない。

選挙参謀としては抜群の能力を持つ小沢に身を引かせ、リーダーシップなき鳩山総理が党の顔として参議院選に望む ――というシナリオが崩れたからだ。自民党を含めた守旧派の思惑は、さらに予想外の展開を遂げていくことになる。

 後任の総理には、代表選挙を経て、以前から既定路線といわれていた副総理兼財務大臣の菅直人にスムーズにバトンタッチされた。いや、これは表向きかもしれない。反小沢グループの岡田外相や前原国交相が菅直人支持を一足早くぶちあげたことで、小沢派は菅政権を影で操るという戦略を封じ込められた形になったからだ。

メディアはどうせ菅直人に小沢離れは無理だろうと認識していたフシがある。しかし、結果的に菅氏は「小沢はずし」の党役員人事、閣僚人事を断行した。まさに昨年の政権交代と同様の「無血革命」を成功させたのだ。その結果、菅総理の支持率は6割を超えるという予想外の数字となった。自民党が、「小沢隠し」といくら噛み付いても、当の小沢本人も激怒するような反小沢人事に、国民も菅総理の本気度を見たということだろう。

 そこまではいいとして、全国の世論調査に対して沖縄県民はまったく逆の評価をしていることを忘れてはなるまい。本土と沖縄の温度差が見事に象徴的に表れているのだ。普天間問題の迷走で社民党が閣外に去り、鳩山総理はさらに支持率低下に追い込まれた。それを投げ出す形で総辞職した鳩山政権に沖縄県民は政治の無責任を見たのだ。

さらに沖縄県民を落胆させたのは、菅総理の普天間問題に関する無責任な発言と人事である。総理就任早々、辺野古基地建設に関しては日米共同声明を尊重すると言い切ったからだ。それだけではない。普天間移設問題で辞任に追い込まれた鳩山総理の共犯とも言うべき岡田外相、北澤防衛相を留任させるという人事に対しても、沖縄県民は絶望的気分を抱いたはずだ。

これで、普天間問題の解決は放置されたも同然である。いや、正確に言えば、日米の事務レベル協議においては辺野古移設の具体案は進行するだろうが、地元の名護市が反対しているという厳然たる事実は放置されたままで、基地建設の可能性も限りなくゼロに近いだろう。

 筆者は、地元紙の「琉球新報」紙面に次のような原稿を書いた。<鳩山総理は普天間問題の解決を岡田外相、北澤防衛相、平野官房長官に政権発足当初から丸投げしてきた。そのため、鳩山総理の「最低でも県外」という意向と関係なく関係閣僚はバラバラに動き始めた。

その結果が、岡田外相の嘉手納基地統合案であり、北澤防衛相のキャンプ・シュワブ陸上案、平野官房長官のホワイトビーチ沖埋め立て案となったのだ。徳之島以外の県外移設も一切検討せず、最初から沖縄県内しか念頭になかったのは、米国側の「日米合意通りの辺野古埋め立て案」という強権的な外交圧力もさることながら、外交・防衛の継続性という神話にとらわれた外務・防衛官僚の強い抵抗の壁が立ち塞がったためだ。
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