中日−西武 3回裏1死、左越えに13号ソロを放つブランコ。投手野上=ナゴヤドームで(中村千春撮影)
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◆西武4−3中日
前夜の“カミナリ”が効いた。悩める主砲に待望の1発が出た。1点リードの3回1死。ブランコが西武・野上の125キロ変化球を左中間スタンドにたたき込んだ。
「バットの先だったけどスタンドに入ってくれてよかった。カミサマのおかげだね」
4番の1発は5月27日の日本ハム戦以来、実に8試合、34打席ぶり。忘れかけていた感触に、自然と声も弾む。4日のロッテ戦でサヨナラ打を放ってはいたが、ブランコ自身は打撃不振に苦しんでいた。最近は攻撃面での悩みが守備にも響き、集中力を欠いたプレーで失策を増やしていた。
チームが西武・岸に完封負けを喫した前夜(6日)も3打数3三振。昨季は3本塁打も見舞った相手だけに、4番の働きが期待されていた。試合後、ブランコが居残り練習を始めると落合監督が現れた。いつもは静かな口調の指揮官がめずらしく声を荒らげた。
今まで懇切丁寧に助言されることはあっても、怒鳴られたことはない。指揮官の本気の怒りを悟ったブランコは気を引き締め直した。「ボール球は絶対に振らない」。教えられた“基本”を何度も自分に言い聞かせた。
守護神への祝砲にならず、試合後のブランコは落胆の表情を浮かべた。それでも、初心さえ忘れなければ岩瀬を祝うチャンスはいくらでもある。 (安藤友美)
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