プロローグ
僕はついに夢を掴んだ。
空気を裂く音が無数に木霊する。
眼下に視認するのは喧騒の中の人々。
蒸気機関を改造したそれはエンジンの音を唸らせて僕を後押しするようだ。
急がないと。
時間は無かった。
蒸気の雲は霧散して、僕に道を切り開く。
目標の宮殿へはあと少しだ。
と、ここで僕は当初の目的を思い出す。
――どんな顔をして会えばいいのだろうか。
――どんな言葉をかければいいのだろうか。
――どんな思いを伝えればいいのだろうか。
別に僕は全ての悪を倒す正義の味方ってわけじゃない。
もう誰が悪で誰が正義かなんて分からない。
ただ、僕は彼女の為にここにいる。
今更足がすくんで腰にも力が入らなくなる。
肺に空気が入りづらくなって息が苦しい。
これは恐怖ではない。
だって僕は今夢を掴んだのだ。
そしてもう一つ、神に願うのならば――
――どうか彼女が笑顔でいてくれますように。
■■
どうも、白夜と言います。
あまり前書きを書く主義はないのですが今回は少々自信があるので、ぜひご覧になってそれほど嫌悪感を抱かないのであれば感想などを頂けるとありがたいです。
まだまだ修行中のみですので、これらを糧にしていきたいと思います。よろしくお願いします。