生徒はこの階段付近で少年に金を渡していたという=8日、横浜市内
中学校の同級生から現金を脅し取ったとして、神奈川県警が横浜市の公立中学校3年生の少年2人(いずれも14歳)を恐喝や恐喝未遂の疑いで逮捕していたことが、捜査関係者への取材でわかった。少年らは9カ月にわたり、少なくとも約20万円を脅し取ったとみられる。「脅すと素直に応じたから、カモにしていた」と供述しているという。
捜査関係者によると、少年2人は今年5月中旬から下旬にかけて、男子生徒(14)から2千円を計3回脅し取ったほか、1万円を取ろうとした疑いがある。
少年2人は昨年9月ごろから、この生徒を「殺すぞ」などと脅し、金を取っていた。日頃から複数の同級生らに金を要求していたが、応じた生徒に集中するようになったという。1回2千〜4千円を週2〜3回要求していた。金は飲食費に使っていたという。
一方、生徒は「金を渡せば何もされないので、応じていた」と話しているという。
今年5月下旬、生徒の親から通報を受けた県警が、金を受け取りに来た少年の1人を現行犯逮捕し、翌日にもう1人の少年も逮捕した。(山本孝興)
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「わかっているから。話してくれないか」。父親が話しかけると、中3の男子生徒(14)は涙を流しながら同級生からの恐喝を打ち明けた。「死にたいとも考えた」という言葉に父親は動揺しながら、「よく言ってくれた」と声をかけたという。
事件で被害を受けた男子生徒と父親が、朝日新聞の取材に応じた。
父親が息子の異変に気づいたのは半年前だった。財布から金を抜き取った生徒を問いつめると「小遣いが欲しかった」と話した。「欲しいのなら言いなさい」と諭したが、それからも抜き取りは続いたという。
自分が大切にしていた漫画やゲームソフトを中古店に売るようになった。父親には「もうやり終わったから」と説明していたが、「コレクションをするタイプなのに」と不自然に感じたという。